第四十四話 妖虫その十
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「それよ」
「まずはそれか」
「そうよ。そして次は」
「第二だな」
「それはマジックがこれからもずっと繁盛すること」
次に出て来たのはこれだった。
「ずっとね」
「それもか」
「だって。お店が賑わってないとあれじゃない」
未久は現実を見て話していた。
「やっていけないでしょ」
「それはそうだが」
「だからよ。その二つをまず御願いしているの」
「その二つか」
「そういうこと。まずはその二つ、そして」
「御前自身のか」
「将来のアルバイトね」
兄に対してにこにことしながら話す。そんな話をしながらだ。妹はアイスを食べていく。兄が作ったそのアイスをである。
そうしながらだ。こんなことも話した。
「それでね」
「今度は何だ」
「アイスクリームもいいけれど」
まずはそのアイスのことだった。
「もう一つね」
「もう一つか」
「あれよ。アイスキャンデーもどうかしら」
「アイスキャンデーか」
「お店の中で食べるんじゃなくてお店の外で売るものになるけれど」
これはアイスキャンデーの商品としてのイメージからの話だった。アイスクリームは店の中でも食べるがだ。アイスキャンデーは違っているのだ。
「それでもね」
「アイスキャンデーもか」
「それでどうかしら」
あらためて問う妹だった。
「お兄ちゃんアイスキャンデーも作られるわよね」
「ああ」
「あれってアイスクリームより簡単よね」
「まだそちらの方がな」
「じゃあどうかしら」
また兄に対して言う。
「そっちも」
「考えておく」
「そう、考えてくれるのね」
「話は聞いた」
兄もこう返す。
「それはな」
「そう、じゃあね」
「アイスキャンデーか」
「私あれ好きだし」
ここでは自分のことを先に話す彼女だった。
「お兄ちゃんもだしね」
「好きなのはいいがだ」
「何?」
「御前アイスキャンデーある時はいつも御前だけが食うな」
「そうかしら」
「そうだ。俺は殆ど食べられない」
声にいささか恨めしいものが宿っていた。
「全く。少しはだな」
「置いておけっていうのね」
「そうだ」
まさにその通りだった。
「幾らアイスキャンデーが好きでもだ」
「だって仕方ないじゃない」
「何で仕方ないんだ?」
「私アイスキャンデー好きだから」
それでだというのである。
「だからね」
「それが理由か?」
「理由になってない?」
「随分我儘な理由だな」
「女の子の我儘はいいのよ」
冗談で返す。しかし牧村はそれを冗談とわかっているが真剣に受けて真剣に返す。そうしてやり取りを続けているのであった。
「そう言われてるじゃない」
「初耳だな、それは」
「じゃあ今から覚えておいてね」
「それを許さないと言え
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