SAO編
五十一話 双刃と滅炎
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。俺後から行くわ」
「な……けど……「早くしろっ……!」く……」
そこまで言っても、まだ迷っているキリトにイラつきながらもう一度怒鳴ろうとする。
既に二体の死神は突進の体勢に入っている。時間が無い!
「さっさと……「ユイちゃん!」……は?」
キリトの方を向いたリョウの視界の前を、何か、黒く小さい者が横切った。それがユイだと理解した時には再びアスナの声が後ろから聴こえていた。
「ユイちゃん!駄目ぇっ!」
「アスナっ……!ユイ!戻れっ!」
振り向いた所には、ユイを追いかけて前に出ようとするアスナをキリトが必死の形相で引き止めていると言う図が有った。
その間にも、ユイはトコトコとまるで眼前の者が何であるか分かっていない子供の様な足取りで、二体の死神に接近して行く……
『くそっ……たれがぁ!』
止むなく、前方に向き直ったリョウが前傾形になって足に力を込め、自身の身体を弾丸の如く打ち出そうとした、その瞬間、信じられない事が起こった。
「大丈夫だよ、みんな」
「な……!?」
とんっ……と、地面を蹴ったユイの身体が、空中に浮いたのだ。
ジャンプでは無い。浮かび上がったユイの身体は、空中二mくらいの地点で完全に静止している。本当の意味で、“飛んだ”のである。
『有り得ない』
そう。有り得ない。プレイヤーのアバターが、飛行能力など持つはずがない!
『いや……』
と、此処で、急激に冷静さを取り戻したリョウの脳が、一気に自身の中にあった一つの仮説を引き出す。
死神が鎌を振り上げ、ユイがその軌道上に当たるであろう位置に右手を掲げる光景を、リョウは黙って見つめる。
後ろでキリトやアスナが何かを叫んでいるが、そんな物は碌に耳に入らない。どの道もう間に合わないし、リョウの仮説が正しければ……
ユイの右手に直撃する寸前の死神の鎌が、紫色の電子の障壁に大音響と共に弾き返される。
ユイの右手の前には、やはりというか……紫色システムタグが出現し、[Immortal Object]と言う文字を、間違いなく、虚空に表示させていた。
それは即ち、ユイがプレイヤーでは無いと言う証明。
仮説は、確信となった。
「……また、当っちまった……な」
立ちつくし、そう呟いたリョウの眼前で、二体の死神がユイの取り出した巨大な焔剣によって焔と共に消し飛ばされた。
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