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髑髏天使
第四十四話 妖虫その七

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「今日もだ」
「鍛錬鍛錬」
「毎日してこそだからね」
「だからこそ力を手に入れられるしね」
「確かなものがね」
「そういうことじゃな。さて」
 ここでまた言う博士だった。
「わし等はこれでな」
「またね」
「また会おうね」
 妖怪達も朗らかに話す。
「しかし大阪の甘いものってね」
「うんうん、甘さが強くてね」
「それでいて繊細だし」
「いいよね」
 妖怪達は大阪のスイーツも気に入ってきていた。笑顔で顔を見合わせそのうえでこんな話をするのが何よりの証拠である。
「やっぱり食いだおれ」
「食べる方の舌が肥えてるからね」
「作る方も努力する」
「いいことだよ」
「その通りじゃ」
 博士も妖怪達のその言葉にうんうんと頷く。
 そうしてだ。ある国のことを話に出した。
「イギリスなぞはのう」
「イギリス?」
「あの国?」
「何でも食べ物がまずいらしいね」
「食べ物を冒涜しておる」
 酷評そのものだった。
「料理をじゃ」
「そんなに酷いんだ」
「噂には聞いていたけれど」
「そこまでなんだ」
「あの料理のまずさにじゃ」
 博士の口調はしみじみとしていた。しかしそれ以上にだ。実に忌々しげなものにもなっていた。そんな複雑な口調であった。
「わしは泣いた」
「泣いたって」
「そこまでなんだ」
「壮絶だね」
「ある意味凄いよ」
「全くだよ」
「男泣きに泣いたのじゃ」
 妖怪達に応える形でさらに話す博士だった。
「そこまでじゃった」
「ううん、食べたくないね」
「そうだね」
「そんなのはね」
「勘弁して欲しいね」
 妖怪達も口々にこんな風に言う。
「っていうか大英帝国なのに?」
「長い間凄く繁栄してきた国なのに」
「それなのに料理がまずいって」
「何でかな」
「料理には関心を払わなかったのじゃよ」
 博士はどうしてそうなったのか実に簡単に話した。
「それでじゃ」
「それでまずいんだ」
「他のことには関心を払っていても」
「料理に関心を払わなかったから」
「それで」
「イギリスの料理は駄目じゃ」
 また駄目出しをする博士だった。
「イギリスでは料理は期待せんことじゃ」
「まあイギリスは行かないしね」
「そうそう、僕達日本の妖怪だし」
「興味もないしね」
「そうだよね」
 こんな話をしていた。その時だった。
 牧村がだ。ここまで話を聞いていたがそれでも口を開いたのであった。
「だが」
「だが、じゃな」
「イギリスの菓子は作ると美味い」
 そうだというのである。
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