暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第四十四話 妖虫その六

[8]前話 [2]次話

「それがわしの方針ではないかのう」
「はい、その通りです」
「さすればじゃ」
 ここまで話してであった。また話す博士であった。
「その論文も書かせてもらおう」
「それでどの場所の臓器移植について書かれますか」
「心臓じゃな」
 そこだというのである。
「そこについて書こう」
「心臓ですか」
「臓器移植の中でもとりわけやりがいのある場所じゃ」
 博士は楽しそうに話す。
「最も難しくかつ最も重要な臓器じゃからな」
「博士は心臓移植が得意ですしね」
「好きこそものの上手なれじゃな」
 また笑顔で言う博士だった。
「そういうことじゃな」
「そうですね。それでは」
「うむ、帰ってからじゃな」
「はい、それからです」
 ろく子は時間はそれからと述べるのだった。
「それで書かれるのにどれだけで」
「一日あれば充分じゃろ」
 博士は素っ気無くその必要な時間を述べた。
「それだけあればのう」
「では」
「うむ。それではじゃ」
 ここまで話してであった。あらためて向かいにいる牧村に話す。
「大学でもじゃ」
「そちらでもか」
「調べてはおく」
 そうするというのである。
「当然君のこともな」
「この新しい力のこともだな」
「そういうことじゃ。その力かなりのものじゃな」
「そうだな。これまではそれぞれの力はそれぞれの天使でないと使えなかった」
「うむ」
「しかし今は違う」 
 こう博士に話す。
「そのままの姿で使える」
「黄金の六枚羽根のままでか」
「使える。それだけでもかなり違う」
「そしてその力自体もじゃな」
「それも全く違う」
 そのことを細かく話す牧村だった。
「絶大な力だ」
「全くじゃな。それではな」
「頼むな」
「頼まれたぞ」
 博士はにこりと笑って彼に返した。
「今しかとな」
「わかった。それではだ」
「今日はこれからどうするのじゃ?」
 博士が彼に今度問うたのはこうしたものだった。
「それでじゃが」
「またトレーニングだ」
「それか」
「ああ。例えどれだけ天使の力を手に入れてもだ」
 彼は真剣な面持ちで話す。
「それを俺が使いこなせなければ意味がないな」
「そうそう」
「幾ら天使の力が強くてもね」
「それを使って制御するのは牧村さんなんだから」
 妖怪達もその彼に語る。
「牧村さんが弱かったらね」
「どうしようもないからね」
「振り回されるからね」
「だからだ。またトレーニングだ」 
 また話す牧村だった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ