第四十四話 妖虫その五
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「まあそれはね」
「そうそう、妖怪それぞれ」
「夏が得意な妖怪もいればね」
「冬が得意な妖怪もいる」
「そうだよね」
「本当にね」
こんな話をしながらそれぞれのデザートを食べる妖怪達だった。そして食べながらだ。また牧村に対して声をかけた。
「それでさ」
「牧村さん」
「楽しみたいよね」
「ああ」
牧村はその彼等の言葉に頷いて返した。
「絶対にな」
「じゃあね。生きて」
「そうしてね」
「何があってもね」
「生きる」
今度は一言だった。
「あの妖魔達を倒してな」
「うむ、それではじゃ」
博士も彼の今の言葉を聞いて頷いてだった。
「わしもやるぞ」
「やるのか」
「うむ、やるぞ」
強い言葉であった。
「わしのやるべきことをじゃ」
「それは何だ」
「妖魔達に対して調べる」
それがだというのだ。
「それをしようぞ」
「ネクロノミコンをか」
「他にも色々な本があるがな」
「しかしどの本もあれではないのか」
「そうじゃ。中々読めん」
博士はこう牧村に返した。
「解読が難しくその内容もな」
「下手をすれば読んでいるうちに発狂するのだったな」
「そうじゃ。流石に発狂してしまえばじゃ」
妖怪達がその言葉に突っ込みを入れた。
「どうにもならないよね」
「解読なんてとてもね」
「問題外になるから」
「そうじゃ。だからそれには気をつけておる」
「無理はしないで下さいよ」
博士の横からろく子が言ってきた。流石に今は普通の首の長さだ。人間の店の中なのでその首を伸ばすわけにはいかないのだ。
「くれぐれも」
「わかっておるぞ。しかしじゃ」
「頑張りはされるんですね」
「無理をせずに頑張るぞ」
博士はそうするというのであった。
「しっかりとな」
「そうして下さいね。本当に」
ろく子はまた博士に話した。
「それでなのですけれど」
「ふむ。それで?」
「大学に戻られましたら」
教授としての話になっていた。博士はまだ減益の教授であるのだ。
「今度はですね」
「何かあったかのう、大学で」
「論文の御願いが来ております」
「どの分野のじゃ?」
「医学です」
そちらだというのだ。
「臓器移植に関する論文ですが」
「そちらか。よし、わかった」
「お受けされますか」
「来る者は拒まずじゃよ」
博士は笑ってこうろく子に返した。
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