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SAO─戦士達の物語
SAO編
五十話 解放軍リーダー救出作戦
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ルは、再びゆっくりと口を開いた。


 話は、軍の現在の体制ができるまでの事情に端を発する。

 現在の、ギルドALF。通称《軍》は本来、ギルドMTDと言うまったく別の名前のギルドだったのだそうだ。
このMTDと言うのは、現実世界に居た頃キリトやリョウがよくお世話になった、SAO開始当時日本最大のネットワークゲーム専門の総合情報サイト《MMOトゥデイ》の略称で、当然、ギルドを結成したのもそこのリーダーである、《シンカー》という男だった。

 さて、そもそも、現在《軍》と呼ばれるそのギルドが一番初めに提示した理念に付いて、此処で説明しよう。

 シンカーが本来理想図として提示したのは、一言で言うならば[社会主義国家]の形に近い物だ。
組織内における全プレイヤーが得たアイテムや情報。及びコルを、一端《MTD》と言う組織の下に置いて共同管理し、その上で纏まった利益を全プレイヤーに平等に分配すると言う策で、結成当初のみの事を言えば、決して現在の様な独善的な体制ではなかったのだ。
実際の所、その体制が効果を発揮してギルドに入団した者も決して少なくは無い。何しろ、上の命令にさえ従っていれば取りあえず食料など最低限の物は保障されたからだ。情報の無い物や、どうすれば良いか分からなくなった者の中にこのギルドに参加する者が多かったのはある意味必然とも言えた。
そうしてギルドMTDこと《軍》は規模を膨らませ、ついにメンバー数三千人を超える、超巨大ギルドとなったのである。

 平たく言うならば……それがまずかった。

 管理しきれなくなったのだ。
 人数を増やして、危険性を極力減らしたうえでの狩りをおこない、その上で得た収入をギルド内で均等に分配する。この発想は、はっきり言えば全く間違っていない。むしろ多くのプレイヤーの中で最も正しいとさえ世間一般で有れば言えるだろう。
しかし忘れてはならないのは、この世界がMMORPGの中だと言う事である。

 以前説明したが、MMORPGとは本来、「プレイヤー同士でゲーム内の限られたリソースを奪い合う」という、面倒な本質を持っている。
そしてそう言った世界の中で軍の掲げた様な理念を実現するためには、「末端まで届く強力なリーダーシップ」が有る事と、何よりギルド自体が、「管理できる現実的な規模で有る事」が絶対の必要条件だ。その点のみを抽出して行った場合、軍は条件を満たせなかった。
巨大すぎるのだ、組織そのものが。

 当然、組織が巨大化すればトップの指示や理念は通りにくくなる。結果、軍内部では末端プレイヤーによる入手アイテムの秘匿が横行。それに対して、上層部が粛清を行い、末端側は反発すると言う事態が次々に起こり、リーダーであったシンカーは最終的に指導力を失っていった。

 そこに台頭して来たのが
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