第四十三話 熾天その十一
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「貴様等の神々の一柱の尖兵達だな」
「水の神クトゥルフ」
男から語ってみせてきた。
「その僕達だ」
「そうだったな」
「その者達は出て来た。しかしだ」
「クトゥルフはまだか」
「焦る必要はない」
男は静阿寒言葉で返してみせた。
「まだ先になるがな」
「出て来るのか」
「その時を待っていることだ」
少なくともそれは今ではないというのであった。
「そしてだ」
「そしてか」
「今はこの者達の相手をすることだ」
彼が言うのはこれであった。
「それでいいな」
「俺はそれでどうということはない」
髑髏天使は既に智天使の姿になっている。白銀のその姿での言葉であった。
「それではだ」
「戦うのだな」
「その妖魔達を全て倒してみせよう」
言いながら両手にそれぞれ持っている剣を構えた。そうしてだ。
空を飛んだ。死神もそれに続く。
そして上から。男に対して言った。
「ここに留まるということはしない」
「空にはか」
「貴様等は海での戦いを望んでいるな」
「如何にも」
男はその通りだと返した。
「だからこそここに呼んだのだ」
「それならばだ」
「来るのか」
「そうだ、行くぞ」
「無論私もだ」
死神は髑髏天使の横にいた。そこからの言葉である。
「今からだ。そこに行く」
「来るといい」
男は二人を見上げながら言ってみせた。
「私はこれで去るがな」
「しかし見ているのだな」
「ここではない場所で」
「それはその通りだ」
男もそれは隠さなかった。
「そうさせてもらう。それではだ」
「行くぞ」
「今からだ」
こうしてだった。彼等は海に入った。男はそのまま姿を消した。そうしてであった。
二人は周りを取り囲む妖魔達を見てだ。そして言うのであった。
「いいな」
「うむ」
二人は海に飛び込んだ。その中にはだ。
妖魔達がいた。その数は。
「どれだけだ」
「百は超えている」
死神が髑髏天使に対して答える。
「いや、二百か」
「そうか、多いな」
「勝てるな」
死神は髑髏天使に対して問うた。
「この数相手に」
「勝ってみせる」
これが髑髏天使の返事であった。
「では行くぞ」
「よし、それならだ」
二人は海の中でも空中にいるかの様に舞う。そうしてそのうえでだ。迫り来る妖魔達をだ。縦横無尽に斬って回るのだった。
まずはだ。死神がだ。
大鎌を横に一閃させた。それで妖魔の首を刎ねた。
刎ねられた首と首をなくした身体が海の中で燃えていく。赤くだ。
「まずは一人だな」
「まずはか」
「一人斬っただけで終わるものではない」
死神はその赤く燃え上がる骸を見ながら髑髏天使に返す。
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