第四十三話 熾天その十
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そこで一人くつろいでいるとだった。何かを感じた。
「来たか」
それを感じてすぐに屋敷を出た。サイドカーを走らせる。
そして来たのはだ。海の傍であった。丁度波止場になっている。
そこに入るとだ。海から何かが来た。
「今度は海からか」
「如何にも」
ここでまたあの声がした。夜の闇の海の中からだ。あの黒い男が出て来た。そうしてそのうえでだ。男は牧村に対して言ってきたのだ。
「どうだ、今度は」
「水の中での戦いもあったな」
「それは経験しているか」
「既にな」
「そうか」
「これで納得したか」
「貴様のことはな」
男はこう彼に返した。
「それはだ。だが」
「だが?」
「だからといって貴様等が今回勝てる相手と思わないことだ」
「貴様等か」
「如何にも。来ているな」
男は牧村の方を見据えて話した。
「そうだな」
「そうだ」
こう言ってだ。死神がだ。港に出て来たのであった。
「今ここに来たがな」
「気配でわかった」
「俺もだ」
牧村もこう話す。
「気配を感じていた」
「消したつもりだった」
その死神の言葉だ。黒いジャケットにジーンズという格好だ。
「しかしわかっていたのか」
「気配でわかった。それでだが」
「それでか」
「今度の相手は海からか」
死神は前から出て述べた。
「面白いな」
「気に入ってもらえたか」
「海での戦いは暫くしていなかったからな」
「それでか」
「そうだ。それではだ」
死神が先にであった。
その右手を拳にして己の胸の前に置いてだ。そして。
そこから青白い光を放った。その中で戦いの姿になった。
右手に出した大鎌を己の前で一閃させてだ。言うのであった。
「はじめるとしよう」
「まずは死神だな。そして」
「次は俺だ」
牧村が男に応えた。
「そうだな」
「そうだ。では早く姿を変えるのだ」
「わかっている」
牧村は彼に対して言葉を返した。そうしてであった。
両手を拳にしてその中指の部分を己の胸の前で打ち合わせる。するとそこから白い光が放たれた。その中でだ。甲冑を着た髑髏の姿になった。
その姿になり右手を少し前に出してだ。一旦握ってみせてである。
「行くぞ」
「これではじまりだな」
「そうだ、来い」
髑髏天使の姿で男に告げた。
「貴様が相手でもいい」
「生憎だが今はその時ではない」
「まだだというのか」
「そうだ、まだだ」
また言う男であった。
「貴様と戦うのはな」
「それでこの者達か」
「深き者という」
男は今も海から出て来る異形の妖魔達の名前を話した。魚を思わせる顔にぎょろりとした黒い目、牙が生え揃っている歯、そして緑の鱗に覆われた身体に水掻きのある手。全てが妖魔のものであった
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