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SAO─戦士達の物語
SAO編
四十八話 路地裏の徴税(恐喝)隊
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ばすと言う奇妙な情景が展開していた。
キリトと、アスナは慌ててその方向を見るが、そこには唯何もない虚空が広がるだけで、ユイが何に向かって手を伸ばしているのか分からない。

「みんなのこころ……が」
『こころ……?』
「ユイ!どうしたんだ!?ユイ!」
 リョウが疑問を浮かべている間にもユイは手を伸ばし続け、キリトの声でようやく我に返った様にぱちぱちと瞬きをする。
走り寄ったアスナがユイの手を握り、少々必死な様子でユイに問いかける。

「ユイちゃん……なにか、思い出したの!?」
「あたし……あたし……」
 ユイは何かに悩むように眉根を寄せて俯くと、言った。

「あたし、ここには……いなかった。ずっと、ひとりで、くらいとこにいた」
 そうして、再び何かを思い出すかのように顔を歪め……次の瞬間、更に予想外な事を起こした。

「うあ……あ……あああ!」
 彼女の顔がのけ反り、突然甲高い声で悲鳴を上げ始めたのである。
更に、ザザッっと言うこの世界に来てから久しく聞いていなかったノイズの様な音が辺りに響き……突然、ユイの姿がまるで崩れるように細かくぶれ始めた。
その姿に強烈な嫌な予《勘》を覚えたリョウは、反射的に大声で怒鳴る。

「っ!アスナッ!ユイ坊を離すなっ!」
「え、えぇ!」
 一瞬混乱したように眼を見開いていたアスナだったが、リョウの声に我に返った様に、慌ててキリトの腕からユイを抱き上げ、絶対に離さないと言った様子で抱きしめる。

 ……そうして数秒後、謎の怪現象は収まり、脱力したように再びユイは眠ってしまった。

「おいおい……こりゃあ……」
 リョウの言葉が、静寂のみが降りた路地裏に良く響いた

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