第四十二話 共闘その十六
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「その為に妖怪から魔物になったのですから」
「ではだ」
「はい、それでは」
「貴様等はこれからは妖魔と戦うのか」
牧村はその老人を見据えて問い返した。
「そうするつもりか」
「はい、結果としてそうなります」
まさにそうだというのである。
「彼等は必然的に我等も滅ぼそうとしますし」
「わかった」
牧村はここまで聞いて頷いた。
「では。貴様等も妖魔と戦うか」
「ですが貴方達とは共闘はしません」
「手は結ばないのか」
「休戦です」
老人が話した言葉はこれだった。
「休戦を申し出ます」
「それをか」
「如何でしょうか。我々はあくまで戦いを愛します」
「そしてそれを邪魔する者は」
「去ってもらいます」
穏やかであったが確実な言葉であった。
「だからです」
「それではだ」
ここまで聞いてだ。今度は死神が言ってきた。
「暫くは貴様等との戦闘はないな」
「そちらから来ない限りは」
「ならいい。こちらから攻めることはしない」
死神もそれでいいとした。
「それでな」
「話はまとまりましたね」
ここまで聞いてだ。老人はまた述べた。
「それではそういうことで」
「そうだな。髑髏天使よ」
「ああ」
牧村は死神が自分に顔を向けるのを見た。そしてその声に応えた。
「貴様はどうだ」
「俺もそれでいい」
「いいのだな」
「まずは妖魔だ」
彼もまたこの考えになっていた。
「妖魔を倒さなければこの世界そのものが危うい」
「世界を守るか」
「この世界には友人がいる」
これが彼の返答だった。
「友人を守るのは当然のことだ」
「だから妖魔と戦うか」
「それでは駄目か」
「駄目とは言っていない」
死神もそれは否定しなかった。
「むしろいいことだ」
「そうか、いいか」
「貴様らしい」
そしてこうも言うのだった。
「今の貴様らしい」
「今の俺にか」
「だからこそいい。それではだ」
「ああ」
「貴様の考えは聞いた」
死神は確かな顔で頷いてみせた。
「そういうことだな」
「そうだ。そういうことだ」
「聞いたな」
死神は今度は老人達に再び顔を向けた。
「我々の考えは」
「確かに」
また老人が答えた。
「今しがた」
「それでは今はだ」
「休戦ということで」
「それでいい。我々は我々で妖魔に当たる」
「では我々もまた」
これで話はまとまった。
「妖魔と戦います」
「そうするといい」
死神が言葉を返した。
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