第四十二話 共闘その十五
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「今ここにだ」
「来ているか」
「もう感じる距離だな」
死神はまた話した。
「そうだな。貴様もまた」
「そうだな。今感じた」
牧村の言葉が鋭いものになった。
「来るか。しかも」
「今度は多いな」
死神はまだその手に鎌を持っていない。だが心にはもう持っていた。
「どうやらな」
「十二か」
牧村は具体的な数を述べた。
「それだけだな」
「しかもこの力の大きさはだ」
「魔神か」
「間違いない。それだ」
二人はそれぞれ話していく。
「全員で来たか」
「どういうつもりだ」
牧村は声をさらに鋭いものにさせていた。
「これは」
「それは本人達に聞けばいい」
死神は今はそれについて考えていなかった。
「本人達にな」
「そうだな。それで済むな」
「話はこれでいいな」
「よし、それでいい」
二人はそれぞれ身構えた。そこにであった。
「お久し振りですね」
まずは老人の声がしてきた。
「お元気そうで何よりです」
「少なくとも体調はいい」
牧村がその老人の声に返した。
「貴様等と戦えるだけの身体は維持している」
「おやおや、戦われるつもりですか」
「貴様等がそのつもりならな」
老人にも鋭い声を向けていた。
「そうするが。どうだ」
「それもまた面白いでしょう」
老人は笑いながら述べてきた。
「ですが」
「ですが、か」
「今はそれをするつもりはありません」
こう言うのであった。
「我々も考えました」
「そのうえでの結論か」
「はい」
牧村にも答える。
「その通りです」
「では。その結論を聞こう」
今度は死神が問うた。
「貴様等のその結論をだ」
「貴方達とは戦いません」
これがその結論だというのである。
「そう決めました」
「それは何故だ」
「妖魔は私達に取っても敵であるからです」
「敵か」
「はい、敵です」
また言う老人だった。後ろにいる他の魔神達は今は動かない。
「彼等が望むのは破壊と混沌ですね」
「そうだな。他にはない」
「我等は破壊と混沌は望んでいません」
老人はこのことも述べたのだった。
「戦いは望んでいてもです」
「俺との戦いをだな」
「はい」
牧村を見ての返答であった。
「その通りです。戦いは望んでいますが」
「破壊と混沌は望んではいないか」
「戦いは我等の生きがいです」
魔物を司る者としての言葉に他ならなかった。
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