第四十二話 共闘その十四
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「そうだな」
「戦友か」
「共に戦っている」
死神はまた言ってみせた。
「それで戦友でないのか」
「いや、戦友だ」
牧村もその言葉に頷いた。
「俺と貴様は」
「戦友だな」
「そうなったな」
「そうだな。なった」
死神もまた彼に対して告げる。
「この前にだ」
「前からそうだったかも知れないがな」
「前の戦いで確実にそうなった」
「俺達は戦友か」
「何故そうなれるか」
死神はだ。その戦友に対してこんな風にも言ってきた。
「それだが」
「何故なれる」
牧村もその彼に問うた。
「それは」
「貴様に心があるからだ」
「心か」
「そうだ、心だ」
まさにそれだと。牧村に話すのだった。
「それがあるからだ」
「心によってか」
「当然だ。心がなければどうか」
死神はまた牧村に問うてきた。
「例えばだ。妖魔達はどうだ」
「あの連中か」
「友人になれる筈がないな」
「奴等と俺では根本的に違う」
牧村は感性で感じていることを話した。
「奴等の心はだ」
「人の心ではないな」
「この世に存在しているものの心ではない」
こう言うのであった。
「それとは別の。あれは」
「一言で言うと原始的だ」
死神はその妖魔達の心も話した。
「深い考えはない」
「それはか」
「知性や知能はある」
このことも間違いなかった。
「それもかなり高いな」
「人と同じか。若しくはそれ以上だな」
「そうだ。妖魔もその神々も知能は高いのだ」
死神は再びこのことを指摘した。
「だが。心はだ」
「原始的か」
「本能しかない」
それしかというのである。それだけだとだ。
「あるのは本能だけだ」
「それだけだな」
「そうだ、破壊と混沌」
出て来た言葉は二つだった。
「この二つだけしかないのだ」
「そしてそれによって動いているのか」
「妖魔にあるのはそれだけだ。他にはない」
死神はその妖魔を見ていた。今ここにはいなくともだ。
「それがあの者達だ」
「心はないか」
「あったとしても人のものとは全く違う」
「だから友人やそういったものにはか」
「決してなれない。殺し合うだけだ」
断言であった。揺ぎ無いまでの。
「それだけだ」
「そうだな。魔物達とはまた違うな」
「魔物か」
死神は牧村の今の言葉にだ。ふと動きを止めたのであった。特に言葉にそれが出ていた。そして一呼吸置いてからだ。こう言ってきたのだった。
「その魔物達だが」
「何かあったか」
「ここに来ているな」
こう牧村に告げてきたのである。
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