第四十二話 共闘その十三
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「それじゃ」
「最低の下ってそれでいいのかな」
「どうかな」
「違うんじゃないかな」
「そうだよね」
妖怪達は博士の今の言葉にはそれぞれ異議を述べた。
「そんな気がするけれど」
「どうなのかな」
「わしはそれでいいと思っておるぞ」
博士は少し強引に言ってみせた。
「だからいいのじゃ」
「やっぱり強引だよね」
「そうだよね」
「最低の下が論外って」
「本当なのかな」
「そう思ってくれ。それでじゃ」
博士は今度は話を強引に打ち切った。今度も強引だった。
「よいかのう」
「うん、それじゃあ」
「何かな」
「食べたら次の店に行くとするか」
言ってきたのはこのことだった。
「それでどうじゃ」
「次の店か」
「カレーの次は甘いものじゃ」
「ならあそこか」
牧村は博士の今の言葉ですぐにそこがどの店なのかわかった。
「夫婦善哉か」
「うむ、そこじゃ」
まさにそこだと。博士も答えた。
「そこでどうじゃ」
「いいねえ」
「善哉大好きだし」
「夏に善哉っていうのもね」
「おつだしね」
「夏に冷たいものは確かにいい」
今度はこんなことを言う博士だった。
「しかし暑いものもいいのじゃ」
「そうそう。汗かくからね」
「汗をたっぷりかくのがいいんだよ」
「だからだよね」
妖怪達はここでは博士の言葉にそれぞれ笑顔で頷く。
「夏に暑いものはね」
「それでだよね」
「やっぱり」
「その通りじゃ。では行くぞ」
笑顔で妖怪達にも言う博士だった。
「今からな」
「わかった」
頷いたのは牧村だった。
「では行くとしよう」
「うん、そうだね」
「それじゃあ次は」
「善哉でお口を甘くして」
「楽しもうよ」
妖怪達も応えてそれで今度はその善哉を楽しむのだった。牧村は博士、そして妖怪達ともそれぞれ絆を確かめ合った。そうしてだった。
今は一人だった。一人でサイドカーに乗ろうとした。そこに。
「どうだ」
「今度は貴様か」
「今度は、か」
死神だった。あの黒いライダースーツで彼の横に出て来たのである。
「では今までもだな」
「友人と話していた」
死神に顔を向けての言葉であった。
「そうしていた」
「友人とか」
「そうだ。そして今度は」
「戦友か」
死神の方から出て来た言葉だった。
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