第六話 大天その十
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「羨ましいか」
「勉強に苦労している身からすればね」
これは若奈の本音が多少混ざっていた。
「やっぱりそう思ったりするわね」
「そうか」
「牧村君は別にそうじゃないみたいけれど」
「他人のことはどうでもいい」
また素っ気無い言葉になっていた。
「そんなことはな。自分は自分、他人は他人だ」
「相手がどんな人でもいいのね」
「嫌な奴でなければいい」
個人主義とでも言おうか。少なくとも他者に対して嫉妬したりするような人間であるのは確かだ。優越感や劣等感を抱く男でもない。
「俺はそれだけだ」
「やっぱり素っ気無いわね」
「だがこれで困ったことはない」
ここでもこうであった。
「今までな」
「他人に干渉しないのはいいことだけれどね」
「言うつもりもない」
やはりこの考えを述べる。
「何もな」
「私にも?」
若奈はここで不意に自分のことを話に出してきた。
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