暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第四十二話 共闘その八

[8]前話 [2]次話

「それで食べると美味いからのう」
「そうだな」
 牧村も博士の今の言葉に頷いた。
「一人より二人だな」
「そういうことじゃ。そういえば」
「そういえばか」
「君もそれがわかったのか?」
 博士は自分の向かいに座る牧村の顔を見てだ。話した。
「このことが」
「ようやくな。どうも今までの俺はだ」
「違ったな」
「何処までも一人だった」
 牧村はこれまでの己を振り返り述べた。
「一人でしかなかった」
「そういえばこれまでの牧村さんってな」
「そうそう。僕達と一緒にいてもね」
 妖怪達もここで話す。カレーを食べながら。
「一線を引いていたよね」
「何処か。それはね」
「あったよね」
「何か障壁があって」
 見えない障壁である。それだというのだ。
「近寄り難いものがあったし」
「話せてもどうしても一線があって」
「それは感じてたし」
「何かがあったから」
「そうだったな。俺はだ」
 また話す牧村だった。
「何か他の人間を避けているところがあった」
「それはじゃ」
 博士がその牧村にまた話した。
「人間として誰もがあるものじゃ」
「誰もがか」
「どうしても人と自分は違うものじゃ」
 博士はまた話した。
「それで一線を引いてしまう」
「それは自然か」
「自然じゃ。だが」
「だが、か」
「君はそれが強かったな」
 言葉はもうだ。過去形になっていた。
「他の者よりもな」
「それが何故かだよね」
「問題はそこだよね」
「うん、確かに」
 妖怪達はここで話を進めてきた。
「牧村さんがそうやって一線を引いてきたか」
「それが問題ね」
「どうしてなのか」
「それはわしがわかる」
 博士がまた話した。
「一応精神鑑定や心理学もできるしな」
「それもできるのか」
「そっちの方も専門にしておる」
 博士の学問への造詣はかなり深く広い。そうした分野も入っていたのだ。
「それでわかるのじゃが」
「それでどうしてだ」
 牧村からだった。博士に問うた。
「何故だ」
「何故か、か」
「そうだ。何故かだ」
 こう問うのだった。
「俺がそうして他人と関わろうとしなかったのかは」
「迷惑をかけたくなかったからじゃな」
「迷惑か」
「君は何でも自分でしようとするな」
「ああ」
 その通りだと答えた彼だった。
「そうしたい。何でもだ」
「それじゃ。その通りだ」
「それは他人に迷惑をかけたくないからだったのか」
「君は勉強でもスポーツでもその他のこともだ」
 あらゆることがであった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ