第四十二話 共闘その六
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「二人でやるとさらにいい」
「一人でよりもなの」
「そう思う」
静かに述べた言葉だった。
「俺はだ」
「そうね。言われてみればね」
若奈は彼のその言葉を微笑んで受けた。
「そうなるわよね。何か」
「何か、か」
「牧村君本当に変わったわね」
その彼を見ながらの言葉だった。
「これまで何か一人だったのに」
「一人だったか」
「友達と一緒にいても一人だったじゃない」
彼は人付き合いをしない訳ではない。友人達もちゃんといる。だがその口調や冷静に過ぎる性格からだ。何処か線を引いた感じがあったのだ。
「それがね。今そんなことを言うなんて」
「だから変わったか」
「ええ、変わったわ」
また言うのだった。
「本当にね。それもいい方にね」
「いい方にか」
「そのまま変わっていくともっといいかもね」
若奈は彼のその顔を明るい笑顔で見ていた。
「牧村君にとってね」
「そうか」
「じゃあ二人で頑張りましょう」
若奈はまた告げた。
「二人でね」
「わかった。それならだ」
「また座禅する?」
そしてこう自分から提案したのだった。
「そうする?また」
「そうだな。それではな」
「ええ、それじゃあね」
「またするか」
彼女の提案を受けた。
「これからな」
「そうしよう。二人でね」
「二人だ」
牧村はまた言った。
「二人でしよう」
「ええ」
こうしてまた二人で座禅をするのだった。そしてそれが終わってからだ。
この日は博士と会った。会う場所はカレー屋だ。あの自由軒である。
勿論妖怪達も同行している。しかしであった。
「何か変わった子達よね」
「そうよね」
「服とか外見もね」
「最近の娘ってああなのかしら」
店のおばちゃん達がその妖怪達を見て言う。妖怪達は服を着て一応人間らしく見せている。しかも人間の子供らしく見せているのである。
しかしだ。やはり外見はだ。どうにもおかしなものだった。
「何かな」
「おかしい?」
「そうよね」
「まあいいけれど」
しかしおばちゃん達はこれで終わらせたのだった。
そしてだ。妖怪達はそれぞれカレーを食べている。この店の名物であるカレールーを御飯に最初からまぶしただ。そのカレーをだ。
最初から卵があってそこにソースをかけてだ。食べるのだった。
「美味しいね」
「そうだね」
「噂には聞いていたけれどね」
「このカレーってね」
「病み付きになるよね」
彼等は口々にこのカレーを持て囃す、実際に食べてみての言葉である。
「大阪ってこんな美味しいカレーがあるんだ」
「カレーだけではないぞ」
博士がここでその妖怪達に話した。
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