第四十二話 共闘その四
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そしてだ。彼に対して声をかけた。
「飲み物いる?」
「飲み物か」
「そろそろ摂った方がいいと思うけれど」
こう彼に言うのだった。
「どうかしら」
「そうだな」
二人はジャージ姿だ。牧村は青、若奈は白のジャージをそれぞれ着ている。そして二人共帽子を被っていた。熱射病対策である。
そして熱中症対策としてだ。今若奈は言ったのである。それに牧村もだ。静かに頷いてだ。そのうえで彼女の言葉に応えたのである。
「そろそろだな」
「はい、これ」
こう言ってだ。あるものを出してきた。それはだ。
「野菜ジュースよ」
「それと豆乳だな」
「水分を摂るだけじゃ勿体ないじゃない」
「栄養もか」
「そういうこと。栄養もね」
「それで野菜ジュースと豆乳か」
差し出されたその野菜ジュースと豆乳を走りながら飲む。それはどちらもよく冷えていた。そして美味くもあった。かなりである。
「成程な」
「どう、これで」
その二つを飲む牧村に問うのだった。
「いつもこれだけれどね」
「いいな。俺はスポーツドリンクよりもだ」
「こっちの方がいいのね」
「だからいい」
こう言うのだった。
「お陰でまた走られる」
「だったら嬉しいわ」
若奈もそれを聞いて笑顔になる。
「力になるんだったらね」
「そうか」
「紅茶とか緑茶もいいけれど」
喫茶店の娘らしくお茶も話に出した。
「やっぱりスポーツの時はこの二つだと思うわ」
「野菜ジュースと豆乳か」
「そうなの。それで後だけれど」
「ランニングの後だな」
「筋力トレーニングだったわね」
それだというのだった。
「それもするのよね」
「当然だ」
こう話した牧村だった。
「それもだ。そしてだ」
「そして?」
「テニスとフェシングの素振りの後でだ」
「あれっ、それで終わりじゃないの」
「座禅をする」
こんなことをだ。若奈に言うのだった。
「それをだ」
「座禅を?」
「最近しているな」
「そうね。牧村君大阪に来てからそれはじめたわよね」
若奈は目を二度か三度しばたかせてから答えた。
「どうしてなの?それって」
「少しな。思うところがあってだ」
「それでなの」
髑髏天使のことはだ。ここでも隠していた。
「それではじめたの、座禅を」
「それでだ。また座禅をする」
また話す彼だった。
「最後にな」
「わかったわ。それじゃあ最後に座禅ね」
「そうさせてもらう」
「ううん、私も座禅を付き合おうかな」
ここでだ。若奈はこんなことを言ったのだった。
「それでいいかしら」
「俺は別にいいが」
「そう。だったらね」
牧村の言葉を受けてだ。そうしてであった。
実際に祖父の屋敷の道場で二人で座禅をした。その中でだ。
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