SAO編
四十六話 お出かけ
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「まぁそう落ち込むな、義弟よ」
「別に落ち込んでないさ……ただ、すごく悔しいだけだ」
「パパ?」
「あ、あははは……」
「き、キリト君!元気出して!」
現在四人はこんな会話をしつつ二十二層を、主街区、コラルに向かって行進中である。
ちなみに、ユイはリョウに肩車され、周りの景色をしきりに首を動かしながら楽しそうに見まわしている。
キリトは肩をぐったり落として落ち込み、アスナがそれを慰め、サチは苦笑いしつつもアスナの援護に回っている。
何故こんな事になったかと言うと話は簡単。ユイが、キリトの腕に抱かれて家を出た直後、こんな事を言ったのだ。
『おいちゃ、パパより、高い』
で、キリトからリョウに乗り換え、肩車される事を望んだのである。
確かに、SAO開始時中二だったキリトの身長は、変化なしのため160ちょいくらい。
対しリョウは、高一だったため成長期も過ぎており、180を超えてはいたが……リョウとの背の差がある事を多少なりとも気にしていたキリトにとっては娘ことユイには振られるわ何気に義兄より背がかなり低い事を指摘されるわで、精神的に結構なダメージだったらしい。
それからずっと、この調子だ。
「ほら、キリト、コラルが見えて来たよ?は、早くいこ?」
「そ、そうだよキリト君!急がないと!」
「わかってるよぅ……」
「おいちゃ、おいちゃ」
「どした?ユイぼう。ん〜?あれはな〜」
本日モ晴天ナリ
────
アインクラッドの中で、最も人口の多い街は何処か。
恐らく、この浮遊城の中で百人に聞けば百人ともが迷わず「はじまりの街」だと答えるだろう。
ゲーム開始時、この街には一万人の人間が居ただけの事はあって、このはじまりの街は転移門のある中央広場からしても他の街と比べ桁違いに広い。当然街そのものも広く、ようは収容できる人間が多かったのがまず最大の要因と言えるだろう。
また、ベースタウンとしても優れていて、この広大な敷地内には、宿、武器及びよろず屋の類が無数に存在する。初めの街なので物価も安いのもあると思う。
が、現在この浮遊城アインクラッドにおいて生存している人口約六千人超の、その全てがこの街に居る訳ではない。居るのは、全体の約三割程度。二千人弱だ。
中層プレイヤーや、一部のハイレベルプレイヤーなどは殆どこの街には住まず、自分の気に言った上層階で宿を取るか、自宅を構えている。
転移門もあるのだし、前線までの距離云々に関してさほど問題があるわけでも無いのだが、それでも多くの者達がこの街に住みつかないのは恐らく、この転移門広場に立ってしまうだけで全てが始まったあの日の事を思い出してしまうと言うのが大きいのだろう。
いや、或いは前へ進むのだと言う彼らの決意の表れか。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ