SAO編
四十六話 お出かけ
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ね?」
アスナがそう聞くと、リョウはニヤリと何時もの企むような笑みを浮かべ、からかうような声で言う。
「おやおや、そのような事を私がする筈が無いでは有りませんか?それとも、警戒しなければならない様なやましい事情をお持ちで?アスナ嬢」
「……サチ、色々気を付けた方が良いよきっと」
「あ、あははは……」
アスナの言葉に苦笑を浮かべたサチだったが、それは一瞬だった。
直ぐに気を取り直したように頬笑みを浮かべ……
「大丈夫だよ?アスナ。だってもしリョウがそんな事してるのが分かったら、リョウのご飯は無くなるもん」
「ねっ?」とリョウに向かって視線を向けたサチの笑顔の先には、「お、おう……」と引きつった笑顔を浮かべるリョウの姿が合った。
男と言うのは、胃袋を掴まれると弱い物である。
────
「東七区の教会…………か」
リョウの呟きを聞きながら、キリトは足を止めることなく隣を歩くアスナの腕の中で眠るユイを見る。
あの後、中央通りの街路樹の傍にしゃがみこんでいた一人の男から情報を得た五人は、現在広大な始まりの街の中を南東へと歩いていた。
彼曰く、東七区に有る教会に、子供のプレイヤーが集団で生活している教会が有るのだと言う。
子供のプレイヤーが集まっているとなれば、ユイの情報も少しは有るかもしれない。そう思っての事だが、正直、どうなるかは全く予想がつかない。
唯でさえユイの情報すら碌に持って居ないのだ。極端な話、この子の保護者が本当にこの世界に居るのかさえ怪しい。
『その時は……どうなるんだろうな……?』
試しに、そうなった時の事を想像してみる。
ユイの手をアスナと二人で片方ずつ繋ぎ、のんびりと買い物に出かける。
家に有る暖炉の前で、ユイに読み聞かせをしながら、いつの間にか寝てしまった三人そろってソファで眠る……
「リト……?キリト!」
「ん!?わ、悪い。考え事してた」
幸せな想像から戻ると、目の前には黒髪の自分より少し年上の少女……サチの姿が合った。
彼女とキリトは、既に同じギルドに居た頃と同じくらい親しげに話せるようになっていた。否、むしろ今の方が、遠慮が無いという点では大きいかもしれない。
何度かリョウと引き合わされている内、キリトの中に一方的にあった後ろめたさも溶けた様に何処かへ行ってしまったのだ。
というか、それを気にし続けるのはむしろサチに失礼だと言う事に気付いたと言った方が正しい。何しろキリトがぎこちなく話す間、終始サチはキリトに気を使いっぱなしになっていたのだから。
「付いたみたいだよ。ほら。あそこ」
サチが指でさした先をたどると、東七区の特徴らしき広葉樹の森の向こうに、小さく突き出た十字架付きの尖塔が見えた。
「早いな、殆ど迷ってないんじゃないか?」
「うーん
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