SAO編
四十六話 お出かけ
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いずれにせよ、サチ達は第一層主街区、《はじまりの街》へとリョウ以外の全員が数カ月ぶりに降り立ったのである。
「ユイちゃん、見たことある建物とか有る?」
アスナがリョウの肩の上で周囲を見回してるユイにそう聞くが、ユイの答えは難しい顔で周囲を見回してからの……首の横振りだった。
「わかんない……」
「うーん」
そう言われ唸るアスナにリョウがのんびりと……
「まぁ、この街だいぶ広ぇし。とりあえず市場までぶらぶらしようぜ。道中なんか有るかもしれねぇ」
「そうだね。行こっアスナ、キリト」
そう言うと、二人も顔を上げて歩き出し、五人は転移門広場中央の時計塔から、南に延びる中央通りへと進み出した。
歩きながらふと、リョウが訝しげな声を出す。
「ちと寂し過ぎやしねぇか?この街」
「そう言えば……」
言われて気付き、四人は一斉に辺りを見回す。
この街には二千人近い人間が暮らしている……はずなのだが、現在サチ達が居る中央通りには殆ど人っ子一人の姿も見えなかった。
これが上層エリアの大都市ならば、露天商や道行く人などで、真っ直ぐ歩くのも困難になるほどなのに……
仕方なく、市場に集まっているのかと思い行ってみるが……
「誰も居ないね……」
「あぁ。これはちょっとおかしいな……」
サチとキリトが呟く。
一応NPCが元気よく店への呼び込みをしたりはしているのだが、それだけだ。
大声は虚しく通りを行きすぎるだけで有り、定期的に同じ事を繰り返すNPCで有る事も相まって、何処となく不気味な雰囲気を醸し出している。
と…………
「いや、どうやら人間が居ない訳じゃねぇらしいぞ?」
「え?」
リョウが唐突にそんな事を言い、アスナは疑問符を持って答える。
ちなみにユイはリョウの肩の上に居る間に段々とまどろんできてしまったため、今はキリトの腕の中だ。
「一応声は聴こえるな。宿には人間が居るってこった」
「そっか。兄貴《聞き耳》スキル有るんだよな」
「えぇ〜〜?」
リョウのスキルの事を聞いた瞬間、アスナが怪しむように眉をひそめた。
《聞き耳》スキルは、上げて置くとスキル発動を行わなくても通常より遠くの音を聞く事が出来るようになり、スキル発動を行うとより広範囲の音や、指向性を持ってより遠距離の音を聞く事が出来るスキルだ。
それだけならよいのだが、このスキルは通常プライバシーの保証される宿屋の壁の向こうの音も聞く事が出来たり、一個人の事を指定してその周囲の音を聞く事の出来る。
《盗聴》とも言うべき余り感心できない面も持っているため、犯罪に利用される事もあり、プレイヤー、特に女性にはスキルとして余り好感をもたれていない。
「リョウ、何か変な事して無いでしょう
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