第四十一話 暗黒その十五
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「神だからな」
「今も、か」
「貴様は確かに強くなった」
そのことは認めた。
「天使として階級を上げるにつれてな」
「それと共にか」
「強くなった。だが私は神だ」
「天使とは違うか」
「そういうことだ。私の力は智天使より上だ」
「最高位の天使よりもか」
「それと同等か」
そのクラスだというのである。
「その階級の天使のことはよくは知らないがな」
「貴様といえどもか」
「そこにまで至った髑髏天使はこれまで殆どいなかった」
「それでか」
「それで知る方が無理ではないか」
「確かにな」
髑髏天使は炎を放ち続けている。そのうえで死神に言葉を返していた。死神もまた同じく氷の刃を放ち続け攻撃を行っている。
「それはその通りだ」
「だからだ。私もあの天使のことは知らない」
死神はまた言った。
「残念だがな」
「そういうことか」
「そうだ、だが」
「だが?」
「今の貴様はさらに強くなっている」
「智天使の中でか」
「その通り。同じ階級の中でも強さは変わる」
これは天使にだけ限ったことではない。同じ強さのレベルにあるとされていてもその中でさらに違いがあるのだ。また成長もするのだ。
「どうやら貴様は」
「変わるか」
「そろそろな。また変わるだろう」
こう髑髏天使に話すのだった。
「その時を楽しみにしていろ」
「そうさせてもらうか。だが今はだ」
髑髏天使は今度は剣を前に出した。そうしてだ。
その先から巨大な炎の渦を出してみせた。それで糸も蜘蛛も焼いてみせたのだ。
「炎の渦を!?」
「これは読んでいなかったか」
驚きの声をあげた妖魔に対して言ってみせた。
「どうなのだ」
「そうね。思いはしなかったわ」
妖魔もそのことを認めた。
「けれどね」
「けれどか」
「それだけの強さでもよ」
「勝てるというのか」
「見なさい」
そしてだ。その炎の渦が自身に迫るのを髑髏天使自身にも見るように言ってみせた。するとであった。
その糸もだ。白い糸の盾に防がれてしまった。炎ですらだ。
「貴様には届かないか」
「私の糸は特別よ」
妖魔は誇らしげに言ってみせてきた。
「炎で焼けるものではないわよ」
「炎でもか」
「かといって氷も通じないわよ」
それもだというのだ。死神の攻撃に対してもだった。
「それもね」
「そう言うか」
「私の盾は最強の盾」
その糸がというのだ。
「どうやって貫くのかしら」
「それが問題か」
髑髏天使もそれを見て言った。
しかしだ。ここで彼はだ。あることを考えた。そしてすぐにそれを実行に移したのである。
「それならばだ」
「何か考えがあるのか」
「なければ言いはしない」
こう死神にも言葉を返した。
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