第四十一話 暗黒その十二
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「人間や魔物とね」
「それは考えなかったな」
「考えることもなかったのね」
「誰であろうが倒す」
これが髑髏天使の言葉だった。
「それだけだ」
「随分とシンプルに考えてるのね」
妖魔はそんな彼の言葉を聞いてまた述べた。
「貴方は」
「それが悪いか」
「悪くはないわ。ただ」
「ただ、か」
「話に聞いた通りだわ」
その髑髏天使を見ながらの言葉である。既に彼は智天使になっている。四枚の翼と銀色の姿がだ。夜の道の中で輝いていた。
「噂通りの性格ね」
「そう言うのか」
「ナイアーラトホテップ様の仰る通りね」
こうまで言うのだった。
「そうした性格なのね」
「性格か」
「そうよ。面白い性格をしているわね」
「その面白い性格の相手とか」
「闘わせてもらうわ。それに」
今度は死神を見た。
「貴方もね」
「次は私か」
「死神。命を刈る存在」
まさにそれだというのであった。
「その死神を私が倒すのね」
「随分と自信があるようだな」
「あるわ。だからこそ貴方達を一度に相手にできるのよ」
低めの女の声が笑っていた。まさにそれは獲物を前にして舌なめずりする獣の声だった。異形の、この世にあってはならない獣の声だった。
「そういうことよ」
「そうなるのか」
「さあ、来るのよ」
二人に対する言葉だった。
「相手をしてあげるわ」
「それではだ」
「行くぞ」
二人は彼女のその言葉を受けて一度に動いた。まず髑髏天使がその四枚の翼を使ってそのうえで宙に舞った。そうしてそれからだった。
「受けろ」
右手の剣を前に突き出した。そこから光を出してみせた。
その光で妖魔を撃たんとする。しかしであった。
「甘いわね」
「何っ!?」
「他の妖魔ならいざ知らず」
その声での言葉だった。光を見ずしても言っていた。
「それでもね」
「それでもか」
「こうすればいいわ」
光の先にだった。不意に白い糸が出て来た。それが。
盾となりそれで光を防いだ。まさに一瞬であった。
「防いだか」
「動きは見えていたわ」
悠然とした口調でさえあった。
「生憎ね」
「だからか」
「言った筈よ、私は強いわよ」
そしてこうも言ってみせてきたのだった。
「この通りね」
「俺の攻撃をあっさりと防ぐ程にはか」
「そうよ、強いわよ」
まさにそうだというのである。
「この通りね」
「しかしだ」
今度は死神が言ってきた。
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