第四十一話 暗黒その九
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「泳いでくるね」
「二人でね」
「待て」
しかしここでだ。牧村が起き上がってきた。
そしてそのうえで。二人に言うのだった。
「気が変わった」
「気が変わったって?」
「俺も一緒に泳ぐ」
こう言ってきたのだった。
「二人とな」
「何でまた急にそうなったのよ」
「女の子二人だけでは危ない」
だからだという。
「特に未久、御前はな」
「何で私は特になのよ」
「中学生だ。何かと知らないことも多い」
つまり世間知らずだという。言うのはこのことだった。
「世の中には悪い男も多いからな」
「そんなのわかってるわよ」
「わかっているのと実感しているのとでは違う」
牧村はまた妹に対して話した。
「実感していないからだ」
「そういう奴が出て来たらどうなるかわからないっていうの?」
「だからだ。俺も一緒に泳ぐ」
また言うのだった。
「それでいいな」
「まあね」
妹は少し釈然としない顔だったがそれでも頷いた。
「それじゃあ」
「なら行くぞ」
「私もね」
ここで若奈も話してきた。
「それでいいわ」
「若奈さんもですか」
「女の子二人だと確かにね」
自分の周りを見回す。すると結構視線を感じた。通る男達は必ず意識しているしていないにしろ二人の水着姿をチェックしてきていたのだ。
「危ない感じだし」
「ううん、水着だと余計になの」
「お肌とスタイルがはっきり出るじゃない」
若奈は水着の問題点をはっきりと指摘してみせた。
「それだからね」
「確かに。それが魅力ではありますけれど」
アイドルのグラビアに使われる最大の理由である。アイドルにしろ女優にしろ水着になるのもまた仕事の一つなのである。それもかなり重要な。
「問題でもありますよね」
「だからね。余計にね」
「気をつけないといけないんですね」
「そういうことよ」
若奈はまた未久に対して話した。
「注意しないとね」
「はい、じゃあ」
「男が一人でも一緒にいれば違う」
ここでも言う牧村だった。
「だからだ。いいな」
「ええ、じゃあ」
こうしてだった。二人は牧村と一緒に泳ぐのだった。そうしてプールでの楽しい一時を過ごした。そしてその時間が終わってからだった。
牧村は祖父母の屋敷に戻りまた鍛錬を行った。それからサイドカーで夜の街に出た。気分転換に夜の街を走ることにしたのである。
夜のハイウェイは左右に淡いオレンジの光がありそれで照らされている。そこをサイドカーに跨り一人駆っていたのである。
するとだ。横に彼が来た。
「また来たか」
「来て悪いか」
「いや」
黒いライダースーツとヘルメットの彼に静かに返した。
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