SAO編
四十五話 拾われた少女
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た所八歳か九歳くらい。
そんな小さな少女が、この冷酷で狂った世界に迷い込み、記憶を失う程の精神的ダメージを負ったのだとしたら、それは……それはなんて……
「お世辞にも、良い気分とは言えねぇわな……」
「……くそっ…………」
「キリト君……」
拳を握りしめて小刻みに震えるキリトの肩をアスナが両手で抱く。
どうしようもない無力感とやるせなさ、怒りが、三人の中で渦巻く。
その中から初めに回復したのは……年長者であるリョウだった。
「で?」
「え?」
「な、なんだ?」
いきなり尋ねるように首を傾げたリョウに、キリトとアスナの視線が集中する。
その視線を正面から受け止めながら、リョウはさらに質問を続ける。
「お前等はどうしたい?パパさん、ママさん?」
ニヤリ、と何時ものように笑ったリョウを見て、キリトとアスナはハッとしたように眼を見開くと、その眼に一概に真剣な光を宿し、答える。
「俺……あの子を、出来るだけ早く解放してやりたい」
「うん」
互いに、心からの願いだろう。その眼を見て、リョウはバシンッ!と手を叩くと、保護コードでユイの眠る寝室に音が聞こえないのを良い事に立ちあがり……
「おっし!なら、やる事は決まってくらぁ。取りあえず、情報がいるな」
「そうね。でも、新聞の訪ね人コーナーにも村にも情報は無かったし……」
「なら今日は、ユイが起きたら《はじまりの街》に行ってみよう。あれだけ目立つプレイヤーだし、少なくとも知ってるプレイヤー位居るだろう。もしかしたら親とか兄弟が見つかるかも」
そうして、ユイの出所を調べるための調査が、幕を開けた。
取りあえず、ユイが眼を覚ましてから出かける事にしたため、リョウはいったん準備のために家に帰る事にした。
「んじゃまぁ、頑張っていこうせ」
「おう!」
「うん……」
玄関で見送りに出た二人にそう言ったリョウは、歩き……出そうとして、アスナの眼に、小さな「迷い」が宿っている事に気付く。
「アスナ、どうかしたか?」
「えっ?」
「アスナ?」
慌てたように此方を見たアスナは、慌てて両手を自分のめの前で振り、否定の意を示す。
「な、何でも無いよ!がんばろ!うん!」
「?」
「そか?んじゃ、あとでな〜」
此処で話していても仕方ないと判断したリョウは、少しばかり必死な形相でアスナの言葉を信じる事にして、その場から立ち去った。
────
もぐもぐと、黒髪の少女が口を動かして黄色い物が挟まったサンドウィッチを咀嚼する。
ちなみに、定番のタマゴサンドでは無い。
辛いもの好きのキリトのためにアスナが特別に作った、マスタードサンドだ。
「「「「…………」」」」
難しい顔で咀嚼を続ける少女……ユイの顔を、キリト、アス
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