第四十一話 暗黒その六
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「大学で留年するのはだ」
「そうなの」
「女は大抵真面目に勉強して真面目に卒業する」
そうだというのである。
「それで大学を出て行く」
「何で男の人が残るの?」
「それはお酒とか麻雀とかで遊んで」
「つまり勉強よりそっちに集中して、ですか」
「それで留年してしまうのよ」
こう話すのだった。
「それでなのよ」
「成程、それでなんですか」
「女の子はあまり麻雀しないからね」
「そうみたいですね。中には女の人のプロもいますけれど」
声優でもいたりする。麻雀をする人間も様々である。
「それでもあまり」
「いないわよね」
「少なくとも私は興味ないですね」
「俺もだ」
これは牧村もだった。ここでまた言ってみせた。
「そうしたことにはだ」
「そういえばお兄ちゃんてギャンブルは」
「全く興味がない」
一言での返答だった。
「全くな」
「そうよね、本当にね」
「ゲームはするけれど」
「金をかける遊びは嫌いだ」
彼はその未久と若奈に対して言い切った。
「無駄だ」
「じゃあパチンコも」
「しない」
やはり断言だった。
「パチスロも麻雀もだ」
「競馬や競輪もなのね」
「しようと思ったことはない」
断言が続く。
「全くだ」
「それはいいと思うわ」
若奈も彼のその考えに対して賛成して頷く。
「お父さんもお母さんもギャンブル嫌いだし」
「マスター達もか」
「そうよ。だからいいと思うわ」
話す若奈の顔もにこにことしている。
「そうしたことをしないのはね」
「そうか」
「そういうことよ。ただ」
「ただ?」
「牧村君って運はいいわよね」
こう彼に話すのだった。
「ギャンブルには運は必要だけれどね」
「運が、か」
「ええ。運はいいわよね」
また牧村に話す。
「それは」
「確かにそうですね」
未久も若奈のその言葉に頷いた。
「お兄ちゃんって昔から運がいいんですよね」
「それはあるからね」
「運か」
「運って大事よ」
若奈は牧村にまた話した。
「いざって時にそれがいいか悪いかで随分と変わるし」
「偶然がか」
「偶然は世の中に付きものだし」
こうも話す。
「だからそれがあるのとないのとでね」
「違いますよね」
「牧村君の運って大きいわ」
「はい、確かに」
未久も頷いて認めることだった。
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