第四十一話 暗黒その三
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「じゃからな」
「それではです」
「共に行かせてもらう」
こう言ってであった。彼等がまず姿を消した。
「行ってらっしゃい」
「楽しんでくるといい」
姿を消した彼等に子供と青年が声をかける。
「さて、僕達は僕達でね」
「遊ぶとするか」
「遊園地はどうですか?」
中年男が言ってきた。
「そこで遊ぶというのは」
「そうね」
「悪くはないな」
女と男が応えた。そして紳士とロッカーもだ。
「我等もそれでいい」
「さて、お化け屋敷でも行くか」
「ふふふ、今の人の世はかなり」
「面白いものだ」
黒人と美女は笑ってさえいた。そうしてだった。
彼等もまた闇の中から消えた。そのうえで楽しみに向かうのだった。
牧村はこの時だ。プールにいた。そこで二人の声を聞いていた。
「ねえお兄ちゃん」
「泳がないの?」
未久と若奈だ。見れば二人の格好は。
未久は白のビキニだ。胸は小さいがスタイルはかなりのものだ。
若奈は黒の競泳水着である。やはり胸はないがそのスタイルは均整が取れている。その二人が安楽椅子に寝て休んでいる彼に声をかけてきたのだ。
「折角プールに来たのに」
「泳がないと」
「後で泳ぐ」
彼は今はこう言うのだった。見れば円になった流水プールに広い百メートルはあるプール、滑り台のあるプールと種類はかなりある。彼は今流水プールの横にいるのだ。
「今は休ませてくれ」
「っていうかここ来るまでに走ってるわよね」
「そうよ。二十キロね」
「二十キロねえ」
未久はその距離を聞いてまず呆れた。
「それを毎日よね」
「そうだが」
「運動選手並じゃない、それって」
ここまで聞いてこう言うのだった。
「本当に」
「それで今度は泳ぐのよ」
「何かそこまで体力あったら何でもできそうね」
未久は隣にいる若奈のその言葉を聞いて述べた。
「本当にね」
「そうかも。実際に牧村君ってね」
「うん」
「そう簡単に倒れそうもないし」
「そうよね、確かに」
「だから何でもできると思う」
その牧村のことに他ならない。
「未久ちゃんもそう思わない?」
「思います」
こう返す彼女だった。
「私も」
「そうよね。やっぱり体力だからね」
まずはそれだというのだった。
「それに身体のこなしも凄いし」
「こなしもですよね。それも確かに」
「このままだとテニス選手かフェシングの選手になれるわ」
若奈の言葉は本気のものだった。
「絶対にね」
「特にフェシングはですよね」
「ええ、なれるわ」
間違いないというのである。
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