第四十話 漆黒その十七
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「だからだ」
「そうか。また修行か」
「修行は多い。そして」
「そして」
「得るものも多い。だからこそまたする」
「では次の戦いまでにだ」
死神も自身に背を向けた彼に対してだ。こう告げた。
「より強くなっておくことだな」
「そうさせてもらう。それではな」
「またな」
「うむ、また会おう」
これで別れた。今はだ。
牧村は自分が呼んだサイドカーに乗った。そのうえで祖父母が待っている屋敷に戻った。屋敷に戻るとすぐに祖父母と顔を合わせた。
するとだ。まず祖母が言ってきた。
「決闘でもしたのかい?」
「何故そう言う」
「そんな顔だからね」
だからだというのだった。
「あんたの今の顔はね」
「決闘の後の顔か」
「鋭く険しくなってるよ」
また彼に言ってきた。
「特に目がね」
「目が、か」
「ええ、そうなっているわよ」
こう言うのだった。
「それもかなりね」
「そうだな」
祖父も言ってきたのだった。
「真剣勝負をしてきたな」
「真剣か。確かにな」
髑髏天使としての戦いについては言わない。しかしであった。
「言われてみればそうだ」
「そうなの、やっぱりね」
「誰とは聞かないがそうか」
「そうだ。だが生きている」
彼は祖父母にこう答えた。
「それにだ」
「犯罪は犯してないみたいね」
「そういうものではないか」
「犯罪か。そうだな」
これはこの時まで考えたことのないことだった。
「それとはまた違う話だな」
「だったらいいわ」
「人の世界のことではないのならな」
「それでいいのか」
「あんたが何をしているのか」
「それは問わない」
それはあくまでというのである。
「だがそれでもね」
「人の理を外れていなければそれでいい」
「そうか。それでか」
また答えた彼だった。そうしてだった。
「それでだが」
「ええ、夕食ね」
「あるぞ」
話はそこに向かうのだった。それだった。
「フライを揚げたけれど。どうだ?」
「婆さんのフライは美味いぞ」
「フライか」
それを聞くとだった。牧村の顔が少し動いた。
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