第四十話 漆黒その十四
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それで攻撃をかわした。妖魔が爪で襲おうとしてきたのだ。
だが妖魔は攻撃をかわされてもだ。それでもだった。
「ふむ。そうか」
「特に思うところはないか」
「流石だな。智天使にまでなっただけはある」
声は遠くに離れてきていた。そのうえで笑っていた。
「この程度では効かぬか」
「気配でわかった。今のはな」
「一瞬だけ出してしまったか。しかしだ」
「しかしか」
「これで終わりと思わないことだ」
こう言うのだった。
「これでな」
「ではどう来る、次は」
「案ずることはない」
今度の声は後ろからだった。
「まだやり方はある」
「そうか。ではだ」
ここで遂にであった。髑髏天使はその稲妻を放った。
それは一方に放たれたのではなかった。四方八方、そして上下にもだ。立体的に蜘蛛の巣を思わせる梯子状の形の黄色い稲妻を放ったのだ。
それでだ。妖魔をも襲った。
「むっ!?」
「稲妻は確かに光だ」
稲妻を放った髑髏天使は言った。
「しかしだ」
「光だけではないということか」
「こうして貴様を狙い倒すこともできる」
「それでか。稲妻を選んだのか」
「その通りだ。これでわかったな」
「よくな」
妖魔は右手と左足に稲妻を受けてしまった。その痛みに耐えながらそのうえで髑髏天使の言葉に対して返してみせたのである。
「やるものだ。予想以上だ」
「貴様の予想以上だな」
「やる。しかし」
「まだ闘うのだな」
「妖魔の闘いもまたどちらが死ぬまで行われるもの」
そうした意味では魔物達と同じであった。
「だからこそだ」
「そういうことか」
「その通りだ。貴様が死ぬか私が死ぬか」
「どちらかしかないか」
「さて、どちらがいい」
声は死んではいなかった。
「貴様が選ぶのはどちらだ」
「俺は生きる」
後ろからする妖魔の問いにこう返した。
「それだけだ」
「つまり貴様が勝つということか」
「如何にも。死ぬのは貴様だ」
決して振り向かない。相手が後ろにいることがわかっていてもだ。
「そういうことだ」
「よくわかった。では私はだ」
「生きるつもりだな」
「生きてこの世界に破壊と殺戮をもたらす」
そうするというのだった。
「その為にもだ」
「いいだろう。ならばだ」
「行くぞ」
妖魔は言った。
「今からな」
「来い。斬る」
やはり振り向かない。
「そうしてやる」
「斬れるか」
しかし妖魔は言うのだった。
「果たして。私を」
「斬れる」
返答は一言だった。
「貴様が案じることではない」
「それは自信か」
「自信か。そうではない」
「違うというのか」
「そうだ、言うなら予言だ」
「予言だと」
「そうだ、予言だ」
うそぶいていた。あえてそ
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