第四十話 漆黒その十三
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「では。見るのだ」
「むっ!?」
鎌は地面に激突するかと思われた。しかしであった。
何と鎌がだ。地面の中に入っていった。アスファルトをすり抜けそのうえで入ったのだ。
そうしてだ。地面の中にいるその妖魔に向かい。
一気に両断した。上から下に突き抜けた。そのうえで回転して戻り死神のその手に返ったのであった。
死神はその鎌を受け取ってだ。それから妖魔に対して言った。
「こういうことだ」
「まさか。地の底でもそのまま進めたのか」
「そうだ。私の鎌はあらゆる場所に入ることができる」
このことを妖魔に対して話した。
「そして斬ることができるのだ」
「それが死神の鎌か」
「そういうことだ。これでわかったな」
「このことはわかった」
それはわかったと。妖魔は返した。身体を両断されながらもそれでもだった。アスファルトの上に出てきてそのうえで宙に浮かぶ死神と対した。
「これはな。だが」
「だが、か」
「それでも聞こう。何故わかった」
「貴様の居場所がか」
「そうだ。それは何故わかった」
このことを問うのだった。
「それは何故だ」
「気配だ」
「気配か」
「身体から発せられる気配。それを見たのだ」
こう妖魔に対して述べた。
「それでわかったのだ」
「成程、それでか」
「気配を隠すことは容易ではない。例え姿を完全に隠してもな」
「俺はそれがわかっていなかったか」
「だからこそ敗れた」
死神は妖魔を見下ろしながら告げた。
「そういうことだ」
「わかった」
妖魔は彼のその言葉に頷いた。
「そういうことなのだな」
「その通りだ。そしてだ」
「そしてか」
「逝くがいい」
妖魔に対してこうも告げた。
「今からな。逝くがいい」
「そうだな。そうさせてもらおう」
妖魔もだった。死神のその言葉に対して頷いた。
「最早そうするしかない」
「そして永遠に眠れ」
死神はまた妖魔に告げた。
「そのままな」
「そうさせてもらおう。潔くな」
ショゴスはそれで消えた。赤い炎に包まれその中で眠った。そして。
髑髏天使はその闇の中で稲妻を放った。その光で妖魔を映し出そうとしていた。
「これならばだ」
「私を見ることができるというのだな」
「如何にも。光は闇を払う」
彼は言った。
「だからこそだ」
「面白い考えだ。ではしてみろ」
闇の中から声だけがする。
「是非な」
「見えぬというのか」
髑髏天使は妖魔のその言葉からそれを察した。
「だからか」
「さてな。しかしだ」
「しかし?」
「私からは見える」
そうだというのであった。
「よくな」
「見えるというのか」
「そうだ、見える」
彼はまた言った。
「光から闇は見えぬが闇から光は見える」
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