第四十話 漆黒その十
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「その魂冥界に送り届けてやろう」
「いいだろう、それではだ」
「行くぞ」
死神は大鎌を手にして述べた。
「いいな」
「いいだろう。行くぞ」
「来い」
二つの戦いが膜を開けた。まずは髑髏天使とナイトゴーントだった。彼等は街の上空を舞いそのうえで激しい応酬をはじめようとしていた。
その中でだ。妖魔が彼に言ってきた。
「髑髏天使よ」
「何だ」
「貴様の強さだが」
そのことについての言葉だった。
「かなりのものだな」
「それがわかるというのか」
「そうだ、わかる」
こう彼に言うのである。
「その発する気でだ」
「それによってか」
「それで充分にわかる」
また彼に対して告げる。
「充分にな」
「そうか。それは俺も同じだ」
「我の強さがわかるというのか」
「如何にも。よくわかる」
これは実際のことである。彼は妖魔の発する気配からそれを察していたのだ。
「実にな」
「一つ言っておこう」
「何だ」
「確かに我は強い」
妖魔もそれは認める。
「しかしだ。あの方はさらに強い」
「あの方か」
「そうだ。あの方だ」
あえてこう言うのであった。
「あの方はさらにだ」
「あの邪神のことだな」
「ナイアーラトホテップ様は我等よりもさらに強いのだ」
邪神とはその彼のことだった。
「今の貴様では勝てはしない」
「智天使よりもか」
「そうだ、智天使では勝てはしない」
「では何で勝てるとというのだ」
「さらに強くなることだ」
言いながらだった。飛翔してきた。
そうしてだ。両手のその爪で襲い掛かってきた。それで髑髏天使を切り裂かんとする。
「むっ」
「防いだか」
「来るとわかっていれば容易だ」
左手のその剣で防いでみせたのであった。妖魔の右手からの攻撃をだ。
「実にな」
「見ればわかることはな」
「見ればか」
「そうだ、それでわかることは容易だ」
こう妖魔に対して言う。
「それだけでだ」
「そうか。それではだ」
「それでは。何かあるな」
「我等は魔物とは違う。しかしだ」
そして話したことは。
「魔物と似たこともできる」
「というと」
「見るがいい」
一旦後ろに飛び間合いを開けてきた。そうしてだった。
そこで羽ばたき何かを出してきたのだ。それは闇だった。
闇そのものを出してだ。妖魔はその中に消えたのだ。声だけが聞こえる。
「見えればといったな」
「それで姿を消してきたか」
「そうだ、こうしてだ」
こう言うのである。
「姿を消してみたがだ。これならばどうする」
「面白いと言っておこう」
髑髏天使はその闇の中で妖魔に対して告げた。
「実にな」
「面白いか」
「そうだ、面白い」
何も見えはしない。見えるのはまさ
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