第四十話 漆黒その九
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「その時が来ればその時にだ」
「わかった」
髑髏天使はこれ以上問わなかった。
「それでは。そうするがいい」
「ではな。生きていればまた会おう」
邪神は己の影の中に消えていった。これで終わりだった。
そうしてだ。後には妖魔達が残った。まずはナイトゴーントが髑髏天使に言ってきた。
「さて、それではだ」
「闘うか」
「そうだ、是非闘おう」
彼は髑髏天使に対して告げてきていた。
「それでいいな」
「このナイトゴーントだが」
ナイトゴーントは自ら言ってきた。
「侮ることはないな」
「安心しろ、それはない」
こう返す彼だった。
「決してな」
「そうか、敵を侮ることはないか」
「侮る奴はそれまでのこと」
髑髏天使は静かに言う。
「その時に死ぬ。それだけだ」
「それだけか」
「そうだ、それだけだ」
また言ってみせたのだった。
「所詮はな」
「だからこそ侮りはしないか」
「貴様もそうだな」
目も鼻も口もない、その妖魔の顔を見ながら問う。
「それはないな」
「妖魔にあるのは破壊と混沌」
妖魔が言うのはこの二つだった。
「さすればだ」
「それはないか」
「敵は倒す。それだけだ」
こう言うのであった。
「ではだ。貴様もだ」
「行くぞ」
銀色の光に包まれた。それにより四枚羽の白銀の天使になった。
その煌く甲冑と両腕の剣を手にだ。彼は天上にあがった。
「闘いの場は選ばせてもらうがいいな」
「望むところだ。我もまた」
「貴様もだというのか」
「空での闘いを得意とする」
漆黒の翼を羽ばたかせての言葉だった。
「それを今見せよう」
「いいだろう、それではだ」
「行くぞ」
妖魔もまた天にあがった。そのうえで難波の空において死闘をはじめた。
死神はだ。ショゴスと対峙していた。その中でだ。
「さて、そろそろだな」
「はじめるのだな」
「如何にも。貴様は地の妖魔だな」
「見ての通りだ」
多くを答えようとはしない妖魔だった。
「このままだ」
「そうだな。貴様はそうした妖魔だな」
「そうしてだ」
妖魔はさらに言ってきた。
「この闘いだが」
「どうだというのだ?この闘いは」
「貴様にとって最後の闘いになる」
死神への言葉である。
「貴様は俺によって死ぬのだからな」
「だからだというのだな」
「貴様をこの中の取り込み溶かす」
身体を震わせた。そのゼリー状の不気味な身体を。
「今ここでだ」
「面白い。ならば私はだ」
「そうはさせないというのだな」
「妖魔の魂ははじめてだが」
こう前置きしてからの言葉だった。
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