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髑髏天使
第四十話 漆黒その八

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「そうだな」
「私もいる」
 そしてここでだ。牧村の後ろから声がしてきた。その声は。
 死神だった。彼がそこに来てだ。そのうえで言ってきたのである。
「私の相手は用意しているか」
「死神の相手か」
「いないという訳ではあるまい」
 死神は邪神を見据えていた。それで彼に問うてきていた。
「そうだな、まだいるな」
「如何にも。貴様の相手も用意している」
「面白い。ではその相手は誰だ」
 邪神を鋭い目で見据えながらまた問うてみせた。
「それではだ」
「出て来るのだ」
 こう言うとであった。今度は地の底から出て来たのだった。
 得体の知れない、何か影か泥を思わせる。そうしたものが出て来たのである。
 蠢くそれを見てだ。死神は言った。
「スライム、違うな」
「似ているが違う」
 邪神の言葉は笑っていた。
「生憎だがな」
「ではその名前は何だ」
「ショゴズ」
 返答は一言だった。
「それがこの妖魔の名前だ」
「ショゴズか」
「そうだ。いい名前だと思うか」
「さてな」
 死神の返答は牧村のそれと同じものだった。意識せずにそうなっていた。
「それはどうかな」
「特に何も思わないようだな」
「その魂を刈るだけだ」
 彼が今言う言葉はこれだけだった。
「それだけだ」
「そうか」
「あくまでそれだけだ。さて」
「そうだな」
 今の死神の言葉に応えたのは牧村だった。
「それではだ」
「はじめるとしよう」
「髑髏天使と死神」
 邪神ナイアーラトホテップはそのそれぞれの名前を言ってみせた。
「見せてもらうぞ、その戦いを」
「いいだろう、見るがいい」
「思う存分な」
 両者もその声を受けて述べた。
「この髑髏天使の戦い」
「死神の鎌を」
 言いながらだった。構えに入った。
 そしてだ。髑髏天使は両手を拳にしてその中指のところを胸の前で打ち合わせた。そして死神は右手を拳にして胸の前に置いてみせたのだ。
 それでだった。彼等はそれぞれ青白い光、白い光に包まれて。戦いの姿になった。
「行くぞ」
「やらせてもらう」
 髑髏天使はその右手を前に出して握り締めた。死神は右手に持ったその鎌を己の前で一閃させた。それがそのまま名乗りになった。
 それを見てだ。邪神も妖魔達に告げた。
「いいな」
「はい」
「わかっています」 
 言葉を出してきたのだ。その妖魔達がだ。
「では我々も今より」
「髑髏天使、そして死神を倒します」
「楽しむがいい」
 また言う邪神だった。
「思う存分な」
「はい、それでは」
「今より」
「戦いを楽しめ」
 彼はまた言った。
「わかったな」
「貴様は戦わないのか」
「私も何かと忙しい」
 邪神は今は笑って話すだけだった。
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