第四十話 漆黒その七
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「味にしろ何にしろじゃ」
「味もか」
「うむ、変わるものもあれば変わらんものもある」
博士はまた言った。
「それではじゃ。その変わらない味を楽しみに行くか」
「そうするとするか」
「うむ、それではな」
二人で話してだった。そのうえで食べに向かう。そうしてだった。
きつねうどんを立ち食いで食べた後は串カツだった。そうしたものを食べたうえで牧村は博士達と別れ一人になった。そのうえで難波の街を歩いていた。
そしてなんば花月の前を歩いているとだ。あの男が来た。
「暫く振りだな」
「呼んだ覚えはないが」
「安心しろ、こちらから来た」
こう返してきたのだった。
「私の方からな」
「では。用件はあれか」
「そうだ、あれだ」
にこりともせず牧村に告げてみせた。
「いいな」
「断るつもりはない」
牧村にしてもそのつもりはなかった。
「それではだ」
「ここで闘うか。それとも」
「ここで闘うのは一目につく。場所を変えるか」
「いいだろう。人の世界には人がいない場所も多い」
逆説的な真理を話してもみせたのだった。
「それではな」
「そこに入ってか」
「まずはその身体を変えることだ」
漆黒の男は牧村に告げた。
「髑髏天使にな」
「いいだろう」
牧村もそれに返してだった。そして。
なんば花月の前から離れる。そして前の商店街の脇に入ってだ。そこであらためて対峙するのであった。
「さて」
「ここで闘うか」
「闘いはすぐに終わるもの」
漆黒の男は不敵な笑みと共にこう述べた。
「さあ、出るがいい」
「貴様が闘う訳ではないのだな」
「それはまだ先のことだ」
ここでは不敵な言葉だった。
「貴様がそれに相応しい者になったその時だ」
「そうか」
「では、だ」
この言葉が終わるとだった。
男の背後に何かが出て来た。それは漆黒の翼だった。
顔はない。頭に角がある。その姿は何処かあるものを思わせた。そして牧村もその思った存在をその口に出してみせたのである。
「悪魔か」
「キリストの世界の話だな」
「似ている。しかし違うな」
「如何にも」
黒衣の男もそうだと返してきた。
「ナイトゴーントだ」
「それがその妖魔の名前か」
「いい名前だと思うか」
「さてな」
その問いには積極的に答えようとしなかった。
「しかしだ。それでもだ」
「それでもだというのか」
「面白い戦いではありそうだな」
こう邪神に返したのである。
「中々な」
「面白いというか」
「少なくとも貴様等は楽しむな」
「如何にも」
その通りだというのだった。
「ただ。我々は魔物達とは違う」
「戦いだけではないのはもう知っている」
「破壊と殺戮か」
「如何にも。それも楽し
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