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髑髏天使
第四十話 漆黒その二

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「わかるのう、それは」
「よくわかった。では今倒すのは無理か」
「智天使でもおそらく無理じゃ」
 博士は難しい顔で話す。そうしてだった。
「最高位でもじゃ」
「あの天使でもか」
「そうじゃ。無理じゃ」
「そういえばだ」
 天使の話が出てからの言葉だった。
「気になったことだが」
「今度は何じゃ?」
「天使の階級は九だったな」
 彼が今度言うのはこのことだった。
「そうだったな」
「そうじゃが」
「上があると聞いた」
 彼はだ。そのナイアーラトホテップの話したことを思い出しながら博士に話す。
「さらにだ。あの邪神が言ってきた」
「あの邪神がか」
「そうだ。さらに上があるとな」
「初耳じゃな」
 博士はそのことを聞いてだ。眉を顰めさせて述べた。
「そうじゃったのか」
「調べてくれるか」
 牧村はこのことを博士に問うた。
「このことを」
「わかった」
 博士はすぐに牧村の言葉に頷いてみせた。
「それでは神戸に戻ったらすぐにじゃ」
「頼む、それでな」
「しかし。次から次に出て来るのう」
 博士はあらためて溜息を吐き出す。そのうえで腕を組んで話すのだった。
「謎というものは」
「謎はか」
「謎は消えぬものじゃ」
 博士はまた言った。
「人と謎は友達だからじゃ」
「謎は、か」
「そうじゃ。人は常に何かに対して不思議と思うものじゃ」
「それが謎だというのだな」
「左様、じゃから謎は常に人とある」
 こう牧村に説明する。
「常にじゃ」
「人が謎を作るか」
「その文明の中でできるものじゃ」
「興味を持つことからだな」
「興味がないものは謎でも何でもない」
 博士はこの真理も語ってみせた。
「そういうものじゃよ」
「わかった、よくな」
 牧村もそれを聞いて頷く。
「そういうことか」
「左様、それでじゃ」
「その謎か」
「わしは今一つの謎を持っておる」
 話をこう進めてきた。
「一つのじゃ」
「それは何だ」
「きつねうどんじゃ」
 話に出したのはそれだった。
「きつねうどんの謎じゃ」
「大阪名物だな」
「うむ、この謎を持っておる」
 神妙な顔である。それがかえって滑稽さを出していた。
「どうすべきじゃろうか」
「解決する方法はあるよ」
「ちゃんとね」
 絶好のタイミングで妖怪達が話してきた。
「それはね」
「最高の方法がね」
「ふむ。それではじゃ」
 神妙な顔のままでの言葉だった。
「それは何じゃ」
「食べればいいんだよ」
「味の謎だよね」
「それだよね」
「左様」
 まさにそれだというのだった。
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