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髑髏天使
第三十九話 妖魔その十二
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「どうもな」
「最初はそういうものじゃ」
 博士はその言葉に笑って述べるのだった。
「しかしなってくるものじゃよ」
「次第にか」
「そうじゃ、なってくるものじゃ」
 そうだというのだ。
「そうしたものじゃよ」
「そうか、そういうものか」
「左様、それではじゃ」
 博士はここでだ。自分のハンバーグを食べ終えた。
 牧村も妖怪達もだ。ここでまた話が為された。
 それからデザートを食べてだ。一同は別れた。牧村は一人サイドカーで夕暮れの街を進んでいた。時間は丁度逢魔ヶ時であった。
 その時に前に進んでいるとだ。そこに男が立っていた。
 漆黒のスーツにネクタイをしていた。肌も漆黒だ。しかしその顔は黒人のものではなく白人のものだ。唇が薄く彫のある顔で鼻も高い。
 だが目も髪も黒だ。その不可思議な黒い男が彼の前に立っていた。
 牧村は彼の直前でサイドカーを停めた。そのうえで彼に問うた。
「魔物ではないな」
「わかるか」
「気配が違う」
 だからわかるというのだった。
「妖魔か」
「その上にいる存在だ」
 テノールの声だった。その高い男の声で牧村に対して話すのであった。
「こう言えばもう察しがつくな」
「邪神か」
「そうだ、盲目のスフィンクスと呼ばれていた」
 漆黒の男からの言葉だった。
「これでわかるな」
「早速出て来るとはな」
「名前をナイアーラトホテップという」
 今度は名前も名乗ってきたのだった。
「この名は知っているか」
「ラグクラフトの世界か」
「あの男が書き残したことはほんの一旦でしかない」
 邪神ナイアーラトホテップは笑みを浮かべていた。底知れぬ邪悪なもののある笑みであった。
「我等についてのな」
「ほんのか」
「そうだ。私はただ本能のままに動き」
 こう言ってきたのであった。
「そして全てを破壊し何も残さない」
「それが邪神か」
「その通りだ。我が同族達も同じだ」
「他の魔神達もか」
「また出て来る」
 余裕に満ちた言葉で告げたのであった。
「すぐにな」
「そうか、すぐにか」
「これまでにないことになることは言っておく」
 笑っていた。その言葉が。
「貴様にとってな」
「これまでにないか」
「そうだ、魔物とは違う」
 断言であった。明らかな。
「完全にな」
「面白いと言えばどうする」
 牧村は怯んではいなかった。それをあえて見せてみせたのだ。
「それを」
「面白いか」
「妖魔という存在は知らなかった」
「しかし知ればか」
「俺に向かうのなら容赦はしない」
 言葉には剣を宿らせていた。そのうえでの言葉であった。
「その時はだ」
「妖魔はただ貴様だけを狙いはしないがな」
「何っ!?」
「言った筈だ。魔物とは違う」
「だからか
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