第三十九話 妖魔その九
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そのうえでだ。彼は言うのである。
「使ってるじゃないか」
「確かにな」
「見たとおりだよ」
また言うわ入道だった。
「こうしてね。使えるから」
「手がなくてもそれでもか」
「妖怪はそういうものじゃよ」
また話す博士であった。
「これでわかったな」
「よくな。だが」
「だが?」
「見ていて面白いな」
牧村の今度の言葉はこうしたものだった。
「妖怪の食事というものも」
「妖怪は面白いぞ」
実際にそうだというのだ。
「色々と勉強になる」
「その様だな」
「それでじゃが」
博士はさらに話してきた。
「よいかのう」
「今度は何だ」
「デザートのことじゃがな」
「デザートか」
「それはどうするのかな」
牧村の顔を見ての問いだった。
「それについては」
「アイスクリームがいいか」
牧村は少し考えてから答えた。
「それがいいか」
「アイスクリームか」
「それかプリンか」
これも出したのだった。
「どちらかだな」
「ふむ、わしもそうするか」
博士もまたフォークとナイフを器用に使っている。そうしながら述べたのだった。
「それにな」
「それにするか」
「うむ、問題はどちらにするかじゃが」
「どれがいい」
「プリンじゃな」
博士が選んだのはそれであった。プリンであった。
「それにするとしよう」
「プリンか」
「あれは食べやすい。あれがいい」
「そうか。それなら俺もそうするか」
「ああ、プリンね」
「いいね」
「そうだよね」
妖怪達もであった。二人のそのことばを聞いて頷くのであった。
「それにするか」
「最後はあっさりとね」
「それでしめようか」
「プリンはあっさりしているのか」
牧村は妖怪達のその言葉には眉を顰めさせた。
「そうなのか」
「少なくともハンバーグよりはあっさりしているぞ」
博士はこう述べた。
「ハンバーグはどうしてもな。油っこくなるからな」
「それがいいんだけれどね」
「けれどね。最後までそれはね」
「そうそう、口がすっきりしないからね」
「だからね」
妖怪達はこう口々に言うのであった。
「だからどうしてもね」
「最後はそれじゃないと」
「脂っこいままだとどうしても」
「嫌だからね」
「そういえばそうだな」
ここでだ。牧村も頷いたのだった。
「そのままだとどうしてもな」
「日本人じゃからな」
ここで博士はまた話した。
「どうしてもそうなるのじゃよ」
「妖怪も日本人になるのか」
「正確に言えば日本の妖怪かのう」
博士は腕を少し組んだうえで述べた。
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