SAO編
四十三話 語らう(彼)
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だしそれは哀しみでは無く、尊ばれ、自分を思ってくれる義兄への感謝と、単純な歓喜によってだ。
『そう言うの、ブラコンって言うんじゃねぇの?』
『この世界唯一の肉親の心配して何がブラコンなもんかよ』
見事に返され、キリトは苦笑する事しか出来ない。
暖かく、優しいその雰囲気の中、キリトは了承しようかと一瞬考えるが、胸の中にまだ一片だけ残った迷いは、もう一つだけ、キリトの口に問いを発させた。
『……俺に、出来るかな?』
『……出来るかどうかはお前次第だな。まぁ何もすぐにとは言わねぇよ。人生レベルでゆっくり探してけばいい。それに、もし探さなくても見つかる時は自然と見付かるもんだ。別段何かを変えなくてもな』
『気の長い話だな……』
『そんなもんさ。どうする?』
強制であるはずの罰から、確認の問いが跳んでくる奇妙な状況にキリトはまたしても苦笑したが、此処まで来ると答えはおのずと決まっていた。
『……やってみるよ』
────
「見つかったんだろ?お前にとって必要で、相手にとってお前が必要な人はよ?」
「多分……な」
徐々に近づいてきた外周と、林の隙間からのぞく星を眺めながら、キリトはゆっくりと頷く。
「俺にとって、アスナはもうどうしたって必要な人だってことは自分でも分かってるし……アスナにとっての俺も、そうでありたいっていつも思ってる」
「ま、そこは心配する必要無いと思うがな?」
再びニヤリ、と笑ったリョウに、キリトは訝しげな視線を向ける。
「何で兄貴に分かるんだよ?」
「あー?勘だよ勘」
「嘘つけ!」
明らかに確信してたろ!とキリトは続けたが、結局、リョウの笑みの根拠を聞きだす音は叶わなかった。
「んじゃまぁ、これはお節介になるかもだが……俺も一個、結婚祝いとしてお前に権利をやろう」
「えぇ!?」
「何だその声は」
自分でも分かるほど明らかに不安げと言うか、心配そうな声を上げたキリトにリョウは拗ねた様な声を上げたが、それも一瞬。直ぐに何時ものニヤリと企むような笑顔を浮かべ、続ける。
「そうだな……んじゃこうすっか。お前、一回だけ俺の事全力で頼っていいぞ」
「なんだそれ?」
「文字通りだ。一回だけ、お前のために出来る限りなら何でもしてやる」
自身満々そう言うリョウに向かって、キリトは呆れたように笑いながら返す。
「それ、兄貴らしいって言うかなんていうか……無茶苦茶言われるとか予想しないのかよ?」
「出来る限りって言ったろ。ちゃんと聞いてろ阿呆」
「う……」
どうやらそうそう上手く揚げ足は取らせてくれないようだ。
仕方なく、キリトは今度はリョウの方へと話題を振る事にした。
「そういや、兄貴はどうなんだよ?」
「あぁ?」
「だから、サチとの事」
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