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SAO─戦士達の物語
SAO編
四十三話 語らう(彼)
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んだが』
『もっと嫌だから!そんな趣味無いから!』
『そう言う事じゃねぇよ阿呆』
 必死になってリョウの暴走発言を食い止めようとするキリトにリョウは「何を言ってんだ……」と呆れ顔になり、直後、それまでの企むような笑い顔が嘘であったかのように顔を引き締めた。
キリトはさらに突っ込もうとしたが、リョウの顔が真剣そのものであったため、諦める。

『要は、もう一回サチみたいな奴を作れってこった。お前にとって必要で、相手にとってもお前が必要。そう言う奴な』
『え……でも……』
 その言葉を聞いた途端、キリトの顔が一瞬呆け、次いで沈痛な物へと変わり、俯く。
深く刻まれたあの時の記憶を、リョウの言葉は思い出させていた。

『けど、俺は……もう……』
『だからこそだ』
 下を向いていたキリトの視界に入るようにリョウは中腰の姿勢になってキリトに語りかける。
少しだけキリトは顔を上げ、目の前にある義兄の顔と極近くで向き合う。

『……どういう事さ?』
『あのさ、キリト。一個聞きたいんだけど……人間、生まれて来たからには良い人生送りたいと思わねぇ?』
 いきなりの問いに、キリトは一瞬迷う。
反射的に、自分に良い人生等歩む権利があるのか、と言う自問が生まれたが、今リョウが聞いているのはそうではなく、どう思うか?と言う事だ。
答えとして出すには的確では無いと考え、自分の考えを答える。

『それは……そうだと思う』
『だよな?でさ、これは俺の持論なんだけど、そう言う人生を送るために必要な物の一つって、さっき言った様な奴じゃないかって思うんだよな』
『え……?』
 言われた事の意味が直ぐに理解できず、呆けるキリトに、リョウは続ける。

『自分にとってマジで必要で、相手にとっても自分が同じくらい必要な奴。互いに必要としてるから、きっとそう言う奴とだと、支え合いってのが出来ると思う』
『あぁ……』
 その理屈は理解できなくは無い。
互いに必要だから、互いを求めるから、互いが互いの支えとなる。そう言う物を文字通り、「支え合い」と言うのだろう。

『支え合いって奴が出来りゃ、まぁ、数が多いから大概の問題は乗り切れるようになる。乗り越えられる問題が多けりゃ、その分良い人生ってのは近付いて来るもんだって、俺はそう思うんだが……どうだ?』
『多分……間違ってはいない……と思う』
 段々と顔を上げたキリトの答えにリョウは満足気に頷き、自身も腰の位置を上げながら更に言葉をつなぐ。

『俺はさ、お前に良い人生を歩んでほしいって思ってる。出来るだけ、楽しく自分の道を歩んでほしいんだよな』
『な、なんで……』
『何でって事無いだろ?大事な義弟だぜ?お前は』
『……はは、なんだよ、それ……』
 キリトの顔がくしゃっと歪みそうになる。た
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