SAO編
四十三話 語らう(彼)
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開く。
『気分どうだよ?半日以上寝てたんだが?』
『え……』
此処数週間ずっと寝ていなかったのが響いたのだろう。よく見ると、部屋の窓からは夕暮れ時の光が差し込んでいる。
『まぁ……おおむね良好……かな?』
『そりゃ結構。ほれ。』
『あ、どうも……』
突き出された水を手に取り、一息に飲み干す。
長時間眠っていたせいか、システムが経過時間から喉の渇きをキリトのアバターに覚えさせていた。
SAOでも、大声で叫んだり、長時間何も飲まなければ、喉は乾く。
水を渡したのを最後にリョウは何も言わなくなり、ベットと、椅子の上にそれぞれ座る二人の間に、重たい沈黙が降りる。
『…………』
『あ、あの……さ』
やがて、空気の重みに耐えきれなくなったキリトは、数回口を意味無く開閉させた後に声を発した。リョウの方から、刺し抜くような視線が帰って来たのを見て若干後悔したが、すぐに振り払い、続ける。
『なんだ?』
『その……ごめん、何も連絡せずに……』
『ゴメン?』
『ごめんなさいでした間違えましたすみません』
ため口だった所を意地悪くつまんで来たリョウに、普段なら文句の一つでも言いたくなるのがキリトと言う人間のはずなのだが、今回ばかりは立場上そんな気が起きるはずも無く、慌てて訂正する。
その必死な顔を見たリョウは……ニヤリと笑った。
『そうだな、それが正しいよな?キリトクン』
『う……』
しまった。とキリトは反射的に自分が無理矢理リョウのペースに引きずり込まれた事を悟った。こうなっては逃げられるはずもない。
『それが分かっているならば、だ。これから君がすべき事も分かるはずだよなぁ?』
『な……何でしょうリョウ殿?』
『おやおや、キリトクンは分からないとおっしゃる?それでは仕方が無い。説明しましょう。ズバリ、罰を受けてもらいまーす』
今キリトの中では、「駄目だ。止まらない」とか「コノヤロウ」とか「今朝までの雰囲気はどこに?」とか色々な考えが渦巻いていたが、そのどれもが目の前の青年に対して何の意味も持たない事もまた熟知していた。
『ば、罰とは何でしょう?』
『ほほう?知りたいかね?』
『(良いから早く言えっつーの!)』
完全に悪乗り状態である。リョウはニヤリとした笑いを増大しつつ、キリトより高い身長により見下ろすような目線を向けてくる。
段々とキリトも怖いやらムカつくやらでテンションが上がって来た。
『では……幾つか俺の言う事を聞いてもらおう』
『(よりによってそれですか)』
と、キリトは一周して静かになった心で悟った。
実を言うと、同じような要求をキリトが受けた事がある。
まだリョウが桐ヶ谷家に来て一年立っていなかったその冬。
その時はリョウが大切にしていた携帯音楽プ
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