SAO編
四十三話 語らう(彼)
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その勢いは殺された。
『……!?』
『それで合ってる。だけど一つだけ間違ってる……意味はあるの。唯生きてるだけでも。ほんとはね、私知ってたんだ、キリトがとっても強いって』
『っ!?』
そこからは、サチは急に静かになり、ゆっくりと言葉を紡ぎ始める。
『それを知った時、とっても嬉しかった。何でキリトが私達と一緒に居るのかは分からなかったけど……でも、そのおかげで眠る時もキリトの隣なら怖くなかった。もしかしたら私が居る事キリトにとって意味があるかもしれないって考えたら、もっと嬉しかった。ずっと上に上がって来た事に後悔しかして無かったのに、それにだって意味が合ったか持って思えたんだよ?』
『だけど……俺は君を……』
そう言ったキリトの前で、サチは小さく首を横に振る。
『それもキリトのせいじゃないよ?……私ね、ずっと前に沢山考えて、分かった事があるんだ』
『この世界でずっと生きて行くには、どんなに仲間が強くても、装備が強くても、本人の「絶対に生き延びよう」って意思がなきゃだめだって事』
『…………』
『あの時の事は、私が死にそうになっちゃった事は、キリトでも、黒猫団の皆のせいでも無い。私自身のせいなの。むしろ、助かったのはキリトのおかげだよ。キリトがリョウと義兄弟だったから、私は今ここに居るんだもん』
『俺は……』
『私には、キリトの気持ちが全部分かる訳じゃない。これがきっと私の勝手な言い分なんだってことも解ってる。だけど……だけど、お願いキリト。全部意味が無かったなんて言わないで。死んだ方が良いなんて思わないで。私は……君に生きていてほしい』
『っ……!』
それからの事はキリトも良く覚えていない。
唯、気が付いたらいつの間にかベットの上で寝ていて、ぼーっとしていた所にノックの音が響き、扉を引き開けると、目の前にリョウが居た。
────
『よぉ、起きてたか』
リョウの第一声は、ぶっきらぼうなそれだった。
実を言うと、あの日別れて以来、キリトは頑なにリョウとサチの事を避けていたため、数カ月もの間一度も会っていなかったのだ。
理由は自身で自身を追い詰めてしまったせいで、二人と会うのが怖かったからなのだが……しかしそれは、この世界唯一の肉親であるリョウに多大な心配をかける事でもある事は、キリトにも解っていた。
『あ……リョウ、兄さん……』
思わず反射的に「兄貴」と呼びそうになったのを済んでの所でこらえる。自分は自ら彼をそう呼ぶ権利を放棄したのだと言う事を、ギリギリで思い出したからだ。
『取りあえず入れろ』、と言われ、逆らう事のも出来ずにリョウを部屋の中へと招き入れる。
アイテムストレージから取り出したポットで部屋のコップに水らしきものを入れつつ、リョウは口を
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