第三十九話 妖魔その五
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「あの漫画のキャラクターって結局それがないんだよね」
「奇麗事言う話もあるけれどね」
「実際にはね」
「食べ物を投げる奴がおるか」
博士も忌々しげに言う。
「それにじゃ。他の客のことを考えるのじゃ」
「店の中でまずいとか喚くってね」
「完全に営業妨害じゃない」
「新聞記者ってそんなことをしても許されるんだね」
少なくともそれは民主主義の人間のすることではないだろう。この世で最も下劣で汚らわしいならず者国家の人間のすることである。
「凄い世の中だよね」
「今もそうかな」
「今は少し違ってきておるぞ」
博士はそれはしっかりと言う。
「流石にのう」
「新聞記者でも好き勝手できないんだね」
「今は」
「うむ、できん」
それは保障する博士であった。
「ネットで書かれてそれで大騒ぎじゃ」
「何かさ、マスコミってさ」
「嘘書くしそうやって暴れるし」
「まともな人間はいないんだね」
「教師とマスコミと知識人にはとんでもない人間が多いぞ」
その知識人の一人だからこそという意味もある言葉だった。
「呆れるまでじゃ。戦後の我が国の特徴じゃな」
「戦後か」
「そうじゃ、戦後のじゃ」
こう牧村にも話す。
「教師は生徒にどんな暴力を振るっても罪にならんかった」
「それはわかる」
牧村は中学時代のあの暴力教師を思い出していた。
「よくな」
「マスコミ関係者も同じなのだ」
「権力者だからそうなるのか」
「左様、奴等は権力者じゃ」
まさにそれだというのである。彼等は権力者なのだ。
「情報を独占していたり生徒に影響を及ぼせるじゃからな」
「情報を持ち影響を及ぼせるか」
「それこそが権力者じゃ」
博士はこう断定するのだった。
「そしてじゃ。チェックされることはない」
「マスコミは権力をチェックしてもか」
「しかし彼等はチェックされることはなかった」
「権力だというのにか」
「しかしチェックされてこなかった」
そうなればどうなるかはだ。まさに自明の理であった。
「それが今の有様じゃよ」
「あの漫画みたいにか」
「マスコミと教師と知識人は我が国の歴史上最も腐敗した権力者じゃ」
博士はまた断定してみせた。
「呆れるまでにじゃ」
「呆れるな。確かにあの漫画はな」
「野蛮な権力者なんだね」
「インテリぶってるけれど実際はそうなんだ」
「下品な野蛮人が権力を握ってやりたい放題する」
「凄いね」
妖怪達も忌々しげに述べていく。これこそが戦後の我が国であった。知識人はただ立場や自称でなるものではない。そこに相応しいものがあってなのだ。
「じゃああの漫画はもう」
「読む価値ないね」
「それも全く」
「そう、読む価値はないぞ」
博士はここでも断定したのだった。
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