第三十九話 妖魔その三
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「寿司ものう。よいものじゃ」
「そうだよね、大阪のお寿司もね」
「食べてみたいしね」
「寿司も大阪が本場じゃからな」
博士はここでこんなことをも言った。
「やはりな」
「待て」
しかしだ。その言葉には牧村がすぐに言ってきた。
「それは違わなかったか」
「江戸前寿司か」
「そうだ、違ったか」
「確かに寿司の発祥は江戸じゃ」
それを知らない博士ではなかった。やはり博識だけはあった。尚中にはだ。寿司の起源は韓国だという説もある。根拠は一切不明である。
「しかしじゃ」
「しかしか」
「寿司は大阪の方が美味いのじゃ」
こう言うのである。
「それもかなりのう」
「かなりか」
「そうじゃ。大阪は前に瀬戸内海がある」
言うのは地の利だった。
「これが大きい」
「大阪には新鮮な海の幸がある」
「そうじゃ。それがあるのじゃ」
また言う彼等だった。
「わかってくれたのう、これで」
「それでか」
「しかもじゃ」
ここで博士はさらに言うのであった。まだあった。
「それだけではない」
「まだあるのか」
「サービスが違う」
今度はこれであった。サービスもあるのだという。
「大阪の寿司屋は威張っておらんな」
「寿司屋が威張って何かなるのか？」
「東京では違うようじゃ」
そうだというのである。これは実際にそうであり東京の寿司屋は何故か一見お断りであったり威張っていたりするのである。それが東京の寿司屋なのだ。
「威張っておるのじゃよ」
「あんまりむかついたんでね」
「ちょっと悪戯してやったよ」
妖怪達もここで話す。
「ちょっとだけね」
「そうしてやったよ」
「ちょっとだけか」
「そうそう、ちょっとだけね」
「姿を現してね」
そうしたというのである。
「そうしたらお店の中大騒ぎになってさ」
「凄かったよ」
「もうね」
「まあそれ位はいいじゃろ」
博士はそれはいいとしたのだった。
「その程度はな」
「いいのか」
「わしも威張った寿司屋は嫌いじゃ」
博士もここでは己の主観を述べていた。
「だからいいのじゃ」
「それでか」
「そうじゃ、いいのじゃ」
また言うのであった。
「そういう寿司屋にはな」
「関西じゃそういうのは絶対に駄目だからね」
「そうそう」
「何があってもね」
また妖怪達がそれぞれ言う。
「ああいうことしたらね」
「お店潰れるよね」
「何があってもね」
「特に大阪ではそうじゃな」
博士はここで大阪を話に出した。
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