SAO編
四十一話 HOME
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その敬語やめろサチ」
「う……」
突っ込まれた事で、サチは耳まで赤くなりながら力なく俯いてしまった。
朗らかな笑い声が響き、サチはほんのちょっとリョウに恨めしそうな目を向けた後、はにかむような笑顔を浮かべた。
────
「凄い……とっても美味しいよこのケーキ!これ、サチが作ったの!?」
「へ!?あ、うん。材料とか持って来てくれたのはリョウが多いけど……」
アスナが賛辞を送っているのは、サチの作ったロールケーキの余りの美味しさに際してのことだった。
アスナ自身も菓子を作る事はちょくちょくあるが、此処までの物を作れた事は無い。
しっとりとしたスポンジの食感はシステムに規定されてるから良い。問題なのは味だ。
スポンジはそれ自体に柑橘系に近い爽やかな甘みが含まれており、優しい印象を受ける食感の中にアクセントとなっている。白いクリームの方は少し濃いめで、濃厚な甘みが有るが、そのそれぞれが、互いの味を邪魔していないのだ。
独立しつつも調和するように二つの甘みが独特のハーモニーを醸し出すこのロールケーキに、アスナはサチと同じ|料理スキル完全習得者として、とても深い感銘を受けた。
「このクリーム、何の素材で出来てるの?」
「えーっと、クロロ竹とアグル水と……メトゥルの乳かな」
「メトゥル!?インスタルじゃなくて!?」
インスタルとは、二十四層等の平野部に生息する、牛とバッファローを足して二で割った様なモンスターだ。
現実で言う牛乳に似たコクのある乳を出してくれる上に性格もおとなしいため、乳の搾取が容易で、バターや生クリームに近い料理を作りたい時に重宝する。
しかし今サチが言ったメトゥルと言うのは、五十三層に生息する真っ黒な山羊にトナカイの角を付けてついでに好戦的な性格を付け足した様なモンスターだ。
確かに乳が取られる事は知られているものの、乳を取るには一度壁に向かって突進させ、岩壁に角を突きささせると言う荒技で動きを止めた後、限られた時間で取らなくてはいけない上に、インスタルと大して乳の味は変わらないと言う事で、あまりメジャーでは無い素材である。
その手間のかかるメトゥルの乳を、相当量の乳系アイテムが必要なクリームに使うなど聞いたことが無い。
「メトゥルの乳はね、確かに、普通に飲んでもインスタルと大して違わないように感じるんだけど、クリームとか、バター系の食材を生成するのに使うとインスタルで作った時よりも味が濃厚になるの。しかも、ブダルガの粉とピィビスの卵で作った生地にクロロ竹とパフマの実で味付けした生地と組み合わせると、とっても良く合うんだ。」
「そっか、これはパフマの実なのね……」
パフマの実はたしか六十六層のフィールドに生える木から取れる。
確かに爽やか甘さが特徴なのは知って
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