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髑髏天使
第三十八話 老婆その三

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「準備体操してそれからね」
「泳ぐのだな」
「そう、泳いで」
 まさにそうしろというのである。
「それからね」
「じゃあ御前もだな」
「勿論よ。じっくりとやるわ」
 準備体操をというのである。
「それはね。柔軟からね」
「柔軟からか」
「当たり前でしょ」
 それを当然だというのである。
「それもね」
「当然か」
「そうよ。まずは準備体操」
 それは欠かせないというのである。
「絶対にね」
「それは厳しいのだな」
「そうよ。怪我したりしたら何にもならないじゃない」
「それに水泳だから」
 横から若奈が話す。
「万が一ということがあるわね」
「心臓麻痺とかになったらね」
「大事よね」
「そうよね。だから余計に」
「身体は動かすの」
 また話す未久だった。
「ちゃんとね」
「そうだな。それでは俺もな」
「ちゃんと準備体操してよね」
「ああ、わかっている」
 妹のその言葉に頷いてであった。そうしてだ。
 彼も準備体操に入った。前では妹がかなり念入りにしている。確かに体操部だけあってだ。その身体の柔らかさはかなりものだった。
 準備体操の間に若奈はジャージを着てきた。上下共に白である。
 それで二人のところに戻るとだ。未久はまだ柔軟をしていた。
 アキレス腱まで伸ばす。本当に念入りであった。
「足までするのね」
「はい、そうなんです」
 若奈に対して述べていた。
「いつもそうしてますから」
「とにかくストレッチは念入りになのね」
「先生に言われてるんです、部活の先生に」
「ストレッチはしろって?」
「はい、そうです」
 そのものずばりなのだというのだ。
「ですから」
「基本に忠実なのね」
「体操って身体中使いますよね」
「それもかなりハードにね」
「だから余計にそうしろって」
 このことを話しながら尚もストレッチをしている。
「それでなんです」
「わかったわ。そういえば牧村君も柔軟は欠かさないわよね」
「怪我は駄目だ」
 彼もこう言うのだった。
「それで何もかも終わってしまいかねない」
「怪我は付き物にしてもね」
「そうだ、しないよりする方がずっといい」
 牧村は今は柔軟はしていない。しかししたことは事実だ。
「だからだ」
「そういうことね。それじゃあ後は」
「泳ぐか」
「そうしましょう。未久ちゃんも一緒よね」
「はいっ」
 明るい返答だった。
「そうさせてもらいます」
「わかったわ。それじゃあね」
「すいません、何かここでもトレーニングで」
「いいのよ。私も後で泳ぐし」
「そうなんですか」
「プールに来たら泳がないと」
 若奈は微笑みながら述べた。
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