第三十八話 老婆その二
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「感謝しなさい、いいわね」
「ちょっと未久ちゃん」
若奈がここで顔を赤らめさせて未久に言う。
「それは」
「いいじゃないですか。お兄ちゃん朴念仁ですし」
「それでも」
「若奈さんも積極的にいかないと駄目ですよ」
逆に若奈に対して言うのであった。
「もっと積極的に」
「積極的にって」
「だから今回だってこうしてですね」
「それは有り難いけれど」
「だから。いきましょう」
兄に聞こえていることは意に介してはいなかった。彼がこうしたことにはお世辞にも敏感とは言えないことをわかってのことなのだ。
「もっともっと積極的にね」
「そうですか」
「そうですよ。じゃあ早速」
「中に、なのね」
「はい、中に行きましょう」
こうしてであった。二人で女性用の更衣室に入る。牧村は黒いトランクスタイプの水着になった。そのうえでプールに来るとであった。
「お待たせ」
「今来たばかりだが」
「それでもお待たせ」
笑いながら言ってきたのは未久だった。
「私達も今来たばかりだけれどね」
「そうなのか」
「そうよ。それでどう?」
さらににこにことなっていた。着替える前よりもだ。
その彼女の姿はだ。ビキニだった。水色で所々に赤と白のラインが入っている。そんなかなり派手と言ってもいい水着姿であった。
そして若奈は白いワンピースである。二人の姿は実に対象的だ。しかしどちらも胸は小さいがそれでもかなりスタイルはよかった。かなりだ。
周りの視線が集中している。未久はそれを気にすることなく兄に言うのだった。
「それじゃあね」
「泳ぐか」
「ええ。何なら競争する?」
「水泳も重要なトレーニングだからな」
「そうよね。それじゃあね」
これで話が決まった。そしてだ。
若奈がここでだ。言うのだった。
「それじゃあ向こうの五十メートルのプールに行きましょう」
「あそこか」
「ええ。あそこでタイムを見るから」
こう牧村に言ってきた。
「だからね」
「そうか、悪いな」
「それでだけれど」
「私も一緒に泳いでいいかしら」
未久もここで言ってきた。
「それじゃあ駄目かしら」
「いいけれど」
「御願いしますね。ただ」
「ただ?」
「若奈さんの水の中に入らないんだったら上からジャージ着た方がいいですよ」
「ジャージを?」
「下もちゃんと」
それもだというのである。
「着ておいた方がいいですよ」
「どうしてなの?それは」
「だって。今でも視線を集めていますし」
これは若奈のせいだけではなかった。見れば彼女のスタイルはかなりいい。小柄で胸は小さいがそれでも均整がとれている。とりわけ足が見事であった。
「ですから」
「だからなの」
「私もお水の中に入らないんだったらジャージ着ます
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