第三十八話 老婆その一
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髑髏天使
第三十八話 老婆
牧村は未久を連れてそのサウナに向かった。そこはスーパー銭湯もありそしてスポーツジムやプールもあった。そうした場所に来たのである。
入り口は白く非常に清潔な場所だった。右手に看板が見える。建物は一階建てで風呂屋を思わせる。横に大きくかなり広い場所だ。駐車場も相当な大きさだ。
その入り口に来た。するとだ。
「むっ」
「待ってたわよ」
若奈もいた。赤いティーシャツに黒いジーンズという格好でだ。入り口をすぐに入ったところで立っていてだ。牧村に挨拶をしてきたのだ。
「少しだけね」
「まさか」
「そうよ、私が連絡したのよ」
やはりであった。ここで未久がにこりと笑って言うのだった。
「若奈さんにね」
「毎日メールのやり取りしてるから」
若奈からも笑顔で言ってきたのだった。
「だからね」
「それでなのよ。若奈さんにも来てもらったのよ」
「それでか」
「それでなのよ。それで一緒にね」
「それはいいがだ」
「いいが?」
「何故俺に黙っていた」
妹を咎める目で見据えての言葉だった。
「それは何故だ」
「サプライズよ」
「驚かせる為か」
「こういうことは最後まで隠した方が面白いじゃない」
無邪気な顔で言うのだった。
「そうでしょ?」
「趣味が悪いな」
「悪くないわよ。お兄ちゃんをあっと驚かせたくてね」
「私は止めたんだけれど」
若奈は困った顔で言う。見ればその背にはリュックがある。小柄な身体にそのリュックがやけに大きく見える。そしてよく似合ってもいた。
「それでもね」
「こいつはいつもだ」
「うふふ、慣れたでしょ」
「慣れたくて慣れた訳じゃない」
憮然とした声で返す。
「全く」
「じゃあ入りましょう」
兄にこれ以上言わせなかった。この辺りは見事である。
「それじゃあね」
「そうよね。じゃあ最初は」
「プールね」
未久の言葉だ。
「プールに行きましょう」
「そこになの」
「身体を動かしてそれでサウナにしましょう」
「そうね。その方がいいわよね」
「お兄ちゃんへのサービスにもなるしね」
「サービスだと」
「そう、サービスよ」
それだというのである。
「これはサービスなのよ」
「どういうことだ、それは」
「プールよ」
未久はにこりと笑って述べてくる。
「プールなのよ」
「それがどうした」
「鈍いわね。プールは何で入るの?」
「水着だ」
「そう、水着よ」
ここでさらに笑ってきたのだった。
「水着なのよ。わかったわね」
「それでか」
「美少女二人の水着姿よ」
こうも言うのだった。
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