第六話 大天その二
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「天というと」
「左様、空じゃ」
わかりやすいように簡潔に言う博士であった。
「空を表わす文字がのう。出て来るのじゃよ」
「そうなのか」
「何故かはわからん」
そしてこうも言うのだった。
「何故かはな。しかし何度も出て来るのじゃ」
「まさかと思うが」
牧村の直感がここで動いた。
「大天使と関係があるのか」
「それはわからん。それにじゃ」
「それに?」
「このパピルスにもな」
今度出してきたのはこれであった。
「やはり天を表わす文字がよく見える」
「そうか」
「じゃが全体の意味はまだよくわからん」
返事は曖昧なものだった。
「今解読中じゃ」
「どれだけかかる?それで」
「それもよくわからん」
こう言ってまた首を横に振ってきた。
「申し訳ないがな」
「わかった。では待とう」
「とりあえずその間魔物が出て来たらじゃが」
「天使の能力で闘えというのだな」
「それしかあるまい」
ぶしつけな言葉だったがその通りだった。また牧村もそれを言われてどうということはなかった。実に静かで落ち着いた態度を保ち続けていた。
「あるもので闘わなければならないからな。何でもな」
「そうだな。それはな」
「そういうことじゃ。まああのサイドカーもある」
「まさか空を飛ぶとは思わなかったが」
「自信作じゃよ、わし等の」
また笑顔で述べる博士であった。
「やりがいがあったぞ」
「そんなにか」
「短い時間じゃったがな」
「あまり早いので正直不安だった」
これも牧村の本音だ。
「できるかどうかな。まともな改造が」
「しかし凄かったじゃろう」
「錬金術か」
「今では公式には否定されておるものじゃがな」
現代では錬金術は所謂空想上のものとして認識されている。しかしそれは間違っているのだと。博士は牧村に対して言っているのである。
「それは間違いじゃ」
「前にも言っていたな」
「科学も同じじゃよ」
かといって科学も否定しない博士であった。
「そもそもどちらもな。同じなのじゃよ」
「昔は区別がなかったそうだな」
「魔術もそうじゃよ。元は同じじゃ」
「そういうものか」
「それが分かれただけじゃ。人の勝手な考えでな」
ここで少し人間の主観というものにも否定的な見方を見せる。
「嘆かわしいことじゃて」
「それは俺も同じ考えだ」
「理解してくれているようで有り難いぞ」
「実際に乗ってみたからな」
実経験程重いものはない。それが牧村に言わしているのだった。
「だからな。わかる」
「ふむ。左様か」
「そして大天使だな」
牧村は話を天使について戻してきた。
「調べておいてくれるか」
「勿論じゃ。それはな」
確かな声で頷く博士だった。
「わかっておる。ついでに
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