SAO編
三十九話 九死一生
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か!』
体術スキルの一つで、効果は今見えている通り、いわゆる「抜き手」と言うやつである。
比較的体術スキルの低い奴でも使える技で、殆どノーモーションで繰り出せるため、咄嗟の攻撃には向いている。
リョウがそこまで理解した所で、クラディールはポリゴンの破砕音と共に砕け散った。
ポリゴンに圧されるように仰向けに倒れたキリトが心配になり、もう一発跳躍。キリトとアスナの間に着地する。
「無事か!?」
駆け寄ると、空を見上げていたキリトは首だけを動かしてリョウの方を見る。
「兄、貴……?」
「ああ……すまねぇ。間に合わなかったみてぇだな」
無事な姿を見て安心したのもつかの間。リョウは表情を曇らせる。
なるべくなら、義弟や友人にはなるべく殺しをさせたくは無かった。そのため、どうしてもこうなる前にかけつけられなかった事に罪悪感を感じずには居られない。
しかし当のキリトはと言うと、即座に首をぶんぶんと横に振った。
「何で兄貴が謝るんだよ。むしろごめん。また心配かけたよな……」
「いやまぁそれは毎度のことだから」
「うぐっ……」
さっきまでのシリアスな空気はなんだったんだよ……
とか何とか呟くキリトに、ようやくリョウは笑顔をこぼす。このままだとまた無用な悲観を義弟に感じさせる事になる事に気付いたのもあるし、何よりまだ罪悪感が消えたわけではないにしろ、取りあえずは義弟が無事であったのが嬉しい。
『おっと、そうそう……』
笑いながらリョウはこの場に居る今回一番の功労者へ礼を言っていない事に気が付く。今回ばかりはリョウも頭を下げなければならないだろう。
何しろ彼女がいなければ、今頃キリトはポリゴン片だっただろうし。
その彼女……アスナに礼を言おうと、リョウはキリトから目を外し振り返る。
しかしながら、栗色の長い髪を持つ少女は、自分の方を向いたリョウと目が合ったとたんに、顔を俯かせてしまった。
『アスナ……?』
予想外の反応にリョウは少なからず驚く。しかし直ぐに、その原因に気が付いた。
────
『あぁ、自己責モードか』
推測だが、彼女の弱点。
やたらと自分への責任を重く感じてしまう所の暴走が、また始まったのだろうと俺は予想する。
確かにクラディールとキリトのトラブルの中心にアスナがいるのは確かだろうが……
「はぁ……」
「兄貴?」
思わずため息をついてしまう。
まったくもって不毛だ。此処からアスナがまたしても責任を感じた所で、一体何になると言うのか。
自身に責任をともめるその精神を、俺は決して否定するつもりは無い。反省は絶対に必要なことだ。しかし過剰な反省は前進する事の妨げにしかならない。
『ったく……これじゃラフコフの時と同じじゃねぇか……』
状況的にはあ
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