SAO編
三十九話 九死一生
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……
「っと、こうしてる場合じゃねぇな」
噂をすればなんとやらとも言うが、まさか本当にクラディールはやったのだろうか?
そう思い、俺も西門の方へと向かうためそこいらの建物の屋根の上へと跳躍しつつメニューを呼び出してキリトの現在ステータスを確認する。するとそこには、HPバーの周りが普段ならば存在しないはずの緑色に点滅する枠で覆われているキリトのステータスが表示されていた。
「麻痺か!」
成程道理で全く動かない訳だ。
HPバーに対する緑色の枠は麻痺を意味しており、その効果は一部を除いて一切の行動が不可能になると言うSAOに置いてはこれ以上無いほどに恐ろしい異常状態だ。
これまでも多くの犯罪者プレイヤーが利用し、人命を奪ってきた犯罪《ヤツら》の常套手段でもある。
とにかく、急がなければならない。
キリトのHPが消滅するのが先か、俺とアスナ(と言うかアスナ)が辿り着くのが先か。
時間との勝負が始まった。
────
「ったくあの娘は何でこうも先行するか……ね!」
五十五層のフィールド。荒野の中を、再び地面を蹴って跳躍する。
アスナの姿は、荒野の向こうへと消えてとっくに見えやしない位置まで行っている。
二人の位置から状況を確認したいが、メニューを操作する時間も惜しい。
元々、跳躍移動は大して長距離の移動に適していると言う訳ではない。
早いのはどちらかと言えば跳躍した瞬間だけで、長距離移動のために少し高くまで上がってしまえば下降時はろくにスピードも出ない、唯の重力任せになってしまう。
まぁ、それでも俺が地べたを走るよりはよっぽど早いのだが。
また、兄弟結晶も使いたいところだが今は使えない。
実はあの結晶、一度使用するとその後ピッタリ二十日間の待機時間が課せられていて、俺はあのグリームアイズ討伐日の数日前にキリトに呼び出されて移動が億劫だったと言う凄まじく下らない理由で使用してしまい。現在待機期間なのだ。
最近これに関して自分の浅はかさを呪う事が多い気がする。
「ああもう!頼むから間に合ってくれよ!」
頼むって誰にだ?誰かにだ。
────
結論から言おう。
リョウは間に合わなかった。
あの後、リョウはで跳躍を続けたものの、かなり遠くまで行っていたキリト達には中々追いつく事が出来ず、追いつき、丘を越えて見える位置まで来た時には全てがおわる瞬間だった。
見えたのは、何故かアスナがへたり込み、左腕を無くしたキリトとクラディールがその眼前で身体を密着させていると言う奇妙な光景。
良く見ると、クラディールの懐に入り込む様な形で身体を近づけているキリトの右腕は、その相手の腹を貫通しており、五指をそろえた手が、クラディールの背中から見えていた。
『エンブレイザー
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