SAO編
三十九話 九死一生
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募るアスナに、俺は苦笑しながら返す。
「ははは、成る程な。確かにそりゃ面白くねぇだろうが……ま、一応前衛の指揮官なら言い分は最もだしな。そこはたった1日。副団長殿として、あちらさんの立場も組んでやれ」
まあ彼女も分かってはいるのだろう。少々唇を尖らせてはいるものの、小さな声で返答。
「わかってるわ……だからこうやって待ってるんじゃない」
「そりゃそうか。うん。偉いぞ。お嬢ちゃん」
「からかわないで」
なんかこのやりとりも定着してきたな。
「でも、少し別の心配もあるんだよね……」
「あ?」
再び俯き、今度は純粋に心配そうな顔でアスナは呟く。
「キリト君のパーティをさっきからずっとモニターしてるんだけど……パーティにクラディールがいるのよ」
「はぁ!?あの油髪がか!?」
「うん…………」
なに考えてんだ……そんな事を言っている内に、アスナがウィンドウを操作し、アスナのメニューに表示されている物が、俺にも見えるようになった。
そこには、見覚えのある地形を映した地図と、その中心に四つの光点が映し出されている。
「ゴドフリーって気はいい人なんだけど、少し抜けた所もあるから……たぶん、同じギルドになったんだから仲良くしろーとか、そう言う事だと思うんだけど……」
言いたい事は分からないでもないが、そうそう簡単にあの二人の関係が改善されるとも思えない。
いや、キリトはともかく、あのクラディールと言う男はキリトと和解しようなどとは考えないだろう。
むしろ毒とか盛ってきそうな感じがする。
まぁ、勘だが。
「んー確かに心配だが……なぁ?こいつら今フィールドだが、戦闘にしちゃ全然動かなくねぇか?」
「あ、これは多分小休憩だよ。もうお昼だし」
「あー、思い出したら腹減って来た……」
アスナに、「食べてないの?」と聞かれ、「お前んとこの団長の呼び出しでな」と答える。そのままふとアスナの前に表示されるマップ画面に目を凝らすと、四つの光点の内ゴドフリーとクラディールを示す光点がかなり近くに並んでいる事が分かった。
これだけならば、特に問題も無く俺達は無視しただろう。
クラディールの前にあった、ゴドフリーの光点が消えさえしなければ。
次の瞬間、俺は一瞬何が起きたか分からなかった。
いや、突然ゴドフリーの表示が消えた事もその原因の一つではある。それは間違いない。
ただそれ以上に驚いたのは、俺の視界に確かにあったはずのアスナのメニューウィンドウが、いきなりブレておれの視界から姿を消したからである。アスナの姿と共に。
「へ?って早っ!?」
周囲を見渡すと、既に百メートル近く遠くに点となって行くアスナの姿が見えた。向かう先に有るのは恐らく街の西門。
さしずめ「彼氏の危機!」ってところか
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